月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい12月のトピックス

2018-11-30 16:36

2018. December

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●民事執行法制の見直しに関する要綱案の概要

 2018年8月31日に開催された法制審議会民事執行法部会第23回会議において「民事執行法の見直しに関する要綱案」が決定しました。その中から、本稿では、「第三者から債務者財産に関する情報を取得する制度の新設」を紹介します。なお、債務者の財産に係る情報の取得に関する手続きは、原則として債務者の所在地を管轄する裁判所が執行裁判所となります。
(1)債務者の不動産に係る情報の取得
 確定判決や強制執行認諾付公正証書など執行力のある債務名義を有する債権者が執行裁判所に申し立てた場合、執行裁判所が法務局に対し、債務者の不動産に関する情報提供を命じます。
(2)債務者の給与債権に係る情報の取得
 債務者に対して実施した強制執行等が奏功せず、完全な弁済が得られなかった場合、債権者が執行裁判所に申し立てたとき、市町村や日本年金機構等に、債務者の給与等の情報提供を命じます。
(3)債務者の預貯金債権等に係る情報の取得
 債務者に対して実施した強制執行等が奏功せず、完全な弁済が得られなかった場合、債権者が執行裁判所に申し立てたとき、金融機関に、債務者の預貯金債権の情報提供を命じます。
 民事執行法の改正によって確定判決等の債務名義を有する債権者は、第三者からの情報を得て強制執行をすることが可能ですから、債権回収が容易になると思われます。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●改正労働基準法の経過措置

 働き方改革関連法の政省令が2018年9月7日に公布され、関連の施行通達も出されました。この中で労働基準法の施行通達には、2019年4月1日時点での経過措置に関する記述があります。36協定は、「平成31年3月31日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によること」とされ、施行日前に締結した36協定は有効とされています。
 また、年次有給休暇の時季指定義務については、「施行の日後の最初の基準日の前日までの間は、新労基法第39条第7項の規定にかかわらず、なお従前の例によること」とされ、施行日以降に付与される年次有給休暇から時季指定義務が発生することが書かれています。


●同一労働同一処遇と慶弔休暇

 2018年9月28日、人事院から「平成29年民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要」が公表されました。これによると、慶弔休暇等について正社員と有期雇用従業員で異なる状態が存在することがわかります。結婚・忌引休暇制度を持つ企業で、正社員と異なる制度を持つ割合は43.3%(結婚)、42.4%(忌引)となっています。同一労働同一賃金が注目されていますが、これは賃金に限らず休暇等についても同一処遇を求められるので注意が必要です。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●住宅ローン控除適用者が旧居住用財産の譲渡。所得の特別控除の特例等の適用を受ける場合

 住宅ローン控除適用者が、旧居住用財産を譲渡し、居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円)の特例等の適用を受ける場合には留意が必要になります。
 旧居住用財産を譲渡した年の前年分、または前々年分の所得税は、その譲渡した日の属する年分の確定申告期限までに、その前年分、または前々年分の所得税の修正申告書、または期限後申告書を提出し、その住宅ローン控除の額に相当する税額を納付することが必要になります。


●ふるさと納税をした者(寄付者)が地方公共団体から謝礼(返礼品)を受けた場合の課税関係

 近頃ふるさと納税に関する高額返礼品の取り扱いが話題に上っていますが、そもそも寄付者が返礼品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当するため一定額を超えた場合には課税関係が生じます。所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物、または権利その他経済的利益の価額も含まれます。
 ふるさと納税の謝礼として受けた返礼品に係る経済的利益については、所得税法第9条「非課税所得」に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされているので、寄付者が受けた当該返礼品に係る経済的利益は法人からの贈与により取得する収入と考えられることになります。


『月刊総務』2018年12月号P7より転載