月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい3月トピックス

2021-02-26 12:30

2021.March

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●改正会社法の解説(1)株主総会関係

 2021年3月1日から改正会社法(以下、「改正法」)が施行されます。今月号では、株主総会関係の改正法の概要を説明します。
(1)株主総会資料の電子提供制度の新設
 現在紙ベースで行われている招集通知を簡素化し、株主総会参考書類等をホームページ等のウェブサイトで電子提供できるようになります。
 上場会社は、電子提供が強制されるので、定款変更手続きを経ることなく、電子提供が義務化されます。なお、2週間前に招集通知を発送しなければならない点に変更はありませんが、当該招集通知は株主総会の日時や場所や目的事項等だけでよく、参考書類等を送付する必要がなくなります。
 ただし、株主には書面交付請求権があるので、事前に交付請求がされた株主には、従前通りの扱いが必要です。実際に本制度がスタートするのは、2019年12月11日から3年6か月を超えない範囲で、政令で定める日です。
(2)株主提案権の数的な制限
 総株主の議決権の1%以上または300個以上を六か月間継続して保有する株主は、取締役に対して株主総会の目的である事項について、当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知することを請求できますが、濫用事例が多くあることから、当該議案数を10個に制限しています。つまり、会社は10個を超える数の議案の要領の通知を拒絶することができます。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●労働組合組織率が上昇した裏事情

 厚生労働省が2020年12月に公表した「労働組合基礎調査」によると、労働組合の推定組織率が17.1%となり、前年から0.4ポイント上昇したことがわかります。労働組合組織率の低下が危ぶまれて久しく、改善の兆しと考えたいところですが実態は異なります。
 労働組合員数が2.8万人(0.3%)増加したのは事実ですが、組織率の分母である全体の雇用者数が94万人(1.6%)減少したために、組織率が上昇したように見えるわけです。ここでは、パートタイム労働者の雇用者数が70万人減少していることを見逃せません。
 この調査は、同年6月30日現在の状況ですので、新型コロナウイルスの影響による非正社員の減少が、労働組合組織率の上昇を招くという皮肉な状況をうかがわせます。

●賞与不支給報告書の新設

 会社が従業員に賞与を支給する場合、年金事務所等に対して「賞与支払届」に「総括表」を添付して届け出なければなりません。2019年12月に閣議決定された「デジタルガバメント実行計画」で定める添付書類の省略をはかる観点から、この「総括表」が廃止されることになりました。ただし、賞与支払予定月に賞与を支給しない場合には、新しく「賞与不支給報告書」の提出が求められます。この改定は、2021年4月1日から実施されます。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●PCR検査費用の医療費控除の適用

 医療費控除の対象となる医療費は、医師等による診療や治療のために支払った費用、治療や療養に必要な医薬品の購入費用などとされているため、PCR検査など、医師の判断により受けた検査費用のうち、自己が負担した部分については、医療費控除の対象となります。
 ただし、単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など自己の判断により受けた検査費用は、医療費控除の対象とはなりません。


●結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置の改正

 2021年度の税制改正において、適用期限を2年延長するとともに、次の改正が行われる見通しとなりました。
 (1)受贈者である孫・ひ孫が直系尊属から受けた結婚・子育て資金のうち、贈与者に関する相続開始時点で使い切れなかった残額に相続税が課される場合、その残額に対応する相続税額は、相続税額の二割加算の対象とする。
 (2)この非課税措置の制度の適用を受ける受贈者の年齢要件について、18歳以上50歳未満(現行20歳以上50歳未満)となり、下限が引き下げられる。
 (1)は、2021年4月1日以後の贈与から適用見込み、(2)は、2022年4月1日以後の贈与から適用見込みのため、相続開始時には、贈与時期について注意が必要です。


『月刊総務』2021年3月号P7より転載