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BTM徒然草 第8話:日米企業のBTMの違い!

2017年10月19日

■BTMの重要性

 企業規模の大小にかかわらず、経済のグローバル化やボーダーレス化が進んだ現代、現地生産工場の立ち上げや現地法人の設立、ローカルマーケットでの商売は当たり前に起こっている。そのため、海外事業計画中の企業のC-Class(Chiefがつく職位)ピープルは、トップダウンでコーポレート・トラベルプログラムを導入し、その管理をすることが特に必要だ。

 企業がBTM(ビジネストラベル管理手法)をするときのKFSの1つは、トップダウンによる導入決定とトラベルマネジメントが根付くまでのサポートである。

 ビジネストラベルの支出額は、一般管理費項目の内で3本指に入るほどだ。それを管理することは、企業ガバナンスを発揮するだけでなく、コンプライアンス遵守を高め、出張者の危機安全管理の企業責任を果たすことができる重要な業務であることを再認識しよう。

 ただ、企業のビジネストラベル全般を扱うトラベルマネジメント・カンパニー(TMC)のJV(ジョイント・ベンチャー)で営業部長兼業務開発部長をしていた経験からいうと、今の日本企業のBTMの現状では、グローバル化、ボーダーレス化対応のために海外進出している日本企業の現地法人の従業員からのガバナンスを期待することは無理があると考えている。

 では、そう感じるに至った次第をBTN's Annual Corporate Travel 100の2016・2017年版と日本CFO協会のアンケート回答解説を比較しながら説明を試みる。

■米国経済ともかかわるBTM

 BTN's Annual Corporate Travel 100は、全米企業のT&E支出額上位100社へのアンケートをまとめたもので、今年で30回目の実施となる。その調査項目は米国内での航空券購入支出額、優先使用ホテル、レンタカー、外部委託契約の専門旅行会社(TMC、Travel Management Company)、利用予約システムなどに及ぶ。

 このアンケート結果を毎年分析していくと米国の企業の経済動向も推測できる。たとえば、2008年のリーマンブラザース崩壊や世界同時金融危機後のアンケート結果は、金融業の世界的混乱と再編成(M&A、市場退出など)でそれまでとは違う様相を示していた。そういった事態が今年も起きている。

 29年間T&E支出額がトップだったIBMが今年は2位に落ちた。1位になったのは、監査法人・コンサルティングのDeloitteである。当のIBMは過去2年の出張にかかわるサプライヤーの変更を行い、それを原資として株主配当を実施している。こうした傾向はランキングに入っているほかの企業にも見られる。

 今年の特徴は順位変動が多く見られたことだ。シスコシステムが数社を吸収合併した結果、25位にランクアップ。IT・インターネットにかかわるNetworking関連企業、自動車メーカー、金融機関、エネルギー産業も動いている。

 こうした詳細なアンケート回答がBTN's Annual Corporate Travel 100には情報として掲載されており、全米におけるBTMの普及具合をうかがい知ることができる。BTMA Japanとしては今後数年のアンケート結果から目が離せないと感じている。

■日本企業のBTMへの意識

 一方、日本CFO協会のアンケート回答は、出張規定の欠如や不備、旅費削減必要意識とその現状、ビジネストラベルの不正・違反など、いまだコーポレート・トラベルプログラム導入以前の内容である。日本企業はビジネストラベルに対するコスト削減、危機安全管理、コンプライアンスなどの意識が高いとはいい難い。

 日本の旅行業のトップ企業のJTBがBTM部門を置いてからもうそろそろ四半世紀になる。東急観光とBTMのトップ企業ローゼンブルス社との業務提携や、世界の4大BTM旅行社のJV設立・業務提携が始まった今世紀初頭から数えると18年目だ。仕入れ・購買知識・技術が発達し、コスト削減に熱心な自動車メーカーや電機メーカーなどの日本の一部上場企業の中でも、トラベル・プログラムを導入し、BTMを実施しているのは両手両足の指で数えられるくらいではなかろうか?

 米国のように、日本にコーポレート・トラベルプログラムとBTMが普及し、わが事務所のようなコンサルティング・アドバイザリー企業が必要とされる日は来るのだろうかと改めて思っている。

森 栄蔵
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