著作権を考える前に 法律と法と道徳:罰則

最終更新日:2010年03月02日

著作権を考える前に 法律と法と道徳:目次

著作者の権利「著作者だけでなく著作権者、著作隣接権者も含めて」が侵害されたときは、原則として著作者が告訴しなければ刑事事件になりません。こういった犯罪を親告罪と言います。 ※ただし、無名(著者名無し)や変名(ペンネームなど)の著作物の権利の場合は、著作者が誰であるのか判別できないので、その発行者も告訴できます。

(1) 123条2項

百二十三条  第百十九条、第百二十条の二第三号及び第百二十一条の二の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。2: 無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物に係る前項の罪について告訴をすることができる。ただし、第百十八条第一項ただし書に規定する場合及び当該告訴が著作者の明示した意思に反する場合は、この限りでない。

(2) 119条

1: 著作者人格権、著作権、出版権、著作隣接権を侵害すること 2: 著作権法違反となるようなコピーをするために自動複製機器(コピー機)を使わせること 

※この場合の罰則は 3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(ただし親告罪)

(3) 120条

1: 著作者が亡くなったあとで、著作者が生きていたら許さないような人格権の侵害をすること

※この場合は300万円以下の罰金

(4) 120条の2

1: 技術的保護手段(コピープロテクト)を不能にするプログラムを譲渡したり世に広めること 2: コピープロテクトを不能にする業務をおこなうこと

※この場合は300万円以下の罰金

(5) 121条

1: 実と異なる著作者名を表示して著作物の複製物を頒布すること

※この場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(ただし親告罪)

(6) 122条

1: 著作物や実演の利用(48条で定める場合)に際し、著作物の出所明示義務に違反するとき

※この場合は 30万円以下の罰金

(7) 法人の違反行為(124条)

これらの違反行為を法人代表者や、法人または個人の代理人・使用人・従業員がその業務に関して行った場合は、その行為者だけでなく、雇っている法人・個人に対しても罰則の適用があります。

(8) 親告罪のこと(123条)

親告罪とは、被害者が告訴しないと捜査機関(検察官)が公訴できない罪のことです。原則として、捜査機関は犯罪行為を独自の判断で捜査し、公訴できますが、親告罪では告訴があるまで動けません。親告罪にはこのほかに「強姦罪」「侮辱罪」「器物損壊罪」などがあります。著作物を無断で利用しているのかどうかは第三者にはわかりにくいことですし、著作者が自由な利用を認めている場合もありえる、ということもあって著作権侵害行為の一部(全てではありません)は親告罪です。 コピープロテクトを不能にするプログラムを販売する行為などは親告罪ではありません。

(執筆:のぞみ合同事務所 行政書士日野孝次朗)

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