災害への備えは平時から。企業の防災担当者を強力にサポートする東京都のサービスとは

月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年02月08日
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災害時に適切な行動を取るためには、平時の備えが重要だ。防災の基礎知識を身に付け、情報を更新していくことが求められるが、日常業務の中で怠りなく続けることは簡単ではない。東京都では、災害時だけでなく、平時から都内の事業者が東京都と直接つながることのできる「事業所防災リーダー」制度を創設。災害の備えに欠かせない、有益な情報を随時提供している。

防災スキルの向上に役立つ多様な情報を入手できる

画像1 東京都 総務局
総合防災部
事業調整担当課長
西平 倫治さん

東日本大震災から13年が経つ。当時、東京都では多くの帰宅困難者が発生し、駅周辺や道路が混雑を極めた。その経験から、東京都は2012年に「帰宅困難者対策条例」を制定し、大規模災害の発生に際して従業員が施設内で待機できるよう、事業者の対策を努力義務化している。しかし、震災の記憶が生々しかった制定直後は7~8割の事業者がこの条例を知っていたが、2023年になるとその数は約4割と、大幅に減少する。都は、記憶の風化を危惧していた。

帰宅困難者の発生に限らず、災害時の混乱を避けるには、各事業所・職場での対策が欠かせない。そのためには、災害時だけでなく平時から東京都とつながり、防災の基礎知識を学び、適切な情報収集をして対策するキーパーソンが必要だ。そうした人材を支援するべく2022年3月11日に創設されたのが、「事業所防災リーダー」だ。事業所の住所や事業内容などを登録するだけでリーダーごとに専用ページが作られ、そこから都が直接発信する防災情報や発災時の災害情報を取得できる。総合防災部の西平倫治課長に、対象となる人を尋ねた。

「適切な知識を持つ防災リーダーを都内の事業所に増やしていくことが目的なので、登録条件は特にありません。総務ご担当者や防災防火管理者が多いですが、誰でも無料で登録できます。たとえば一つの事業所の全従業員に登録していただいてもかまいません」

登録手順

  1. サイトにアクセス
    「はじめて登録する方はこちら」をクリック
  2. 仮登録画面でメールアドレスを登録
  3. 登録メールアドレスに届いたメールから登録フォームにアクセス。企業情報※1、情報管理者※2を登録
    ※1 本社または店舗の所在地等
    ※2 企業・事業所・店舗を代表して、企業情報や所属の事業所防災リーダーの情報の登録等を行う担当者の氏名・連絡先等
  4. 「事業所防災リーダー」を登録
    企業・事業所内で事業所防災リーダーを複数人登録できます。
    ※ 事業所防災リーダーが情報管理者のみの場合、本手順は不要です。

災害発生時にはPC、スマートフォン、タブレットでこのページにアクセスすれば、緊急情報や都からのお知らせなど重要な情報がひと目で確認できる。情報は登録したメールやLINEでも受信が可能だ。

「事業所防災リーダー」オフィスページ

画像2
(※画像クリックで拡大)

平時の防災対策のヒントになるコンテンツは月に数回、配信される。たとえばこれまでに、以下のようなテーマを取り上げてきた。

  • 防火・防災訓練内容の見直し
  • 落下・転倒防止対策などオフィスの整理術
  • 共助に関する事業所方針のまとめ方
  • マニュアル・ルール・BCPの策定方法
  • 帰宅困難者対策
  • 従業員用備蓄、安否確認ツールをはじめとする連絡手段
  • 各種災害発生時のリスク想定と対策の仕方

「さまざまな角度から災害への意識付けを行っています。自社の防災体制を見直すきっかけになれば幸いです」

リーダーが得た情報を事業所内でシェアしたり、社内研修に使ったりなど、有効活用する会社が増えている。

災害時こそ役立つ緊急情報。具体的な情報を基に判断

災害が発生したとき、情報が集積する東京都と直接つながる体制は心強い。

「台風・大雪などでは、登録された住所に合わせて警報などの緊急情報が配信されます。情報元が確かなものなので、乱発する情報に翻弄(ほんろう)されずに済みます。首都直下地震クラスの大型災害の場合は、都内の災害状況や公共交通機関の運行状況のほか、『建物・周囲の安全を確認した上で従業員は待機させる』『災害用伝言サービスなどで家族の安全を確認し、帰宅は控える』など、そのときどきで行動の参考として求められる具体的な情報も送り、リーダーの判断をサポートします。災害時に信頼できる情報チャンネルとして活用していただきたいと考えています」

画像4
「事業所防災リーダー」キャラクター
『リーダックさんとオキルカモ隊』

対応する災害は地震、風水害、噴火、感染症に加え、今年はJアラートとの連携も予定されており、企業が想定するリスクはほぼ網羅される。登録者を対象にしたアンケートでは、都から提供してほしい情報として、生活インフラや交通インフラの復旧状況、危険なエリア(火災、倒壊、混雑など)、帰宅抑制などの時期、食料など物資の配給、安全・適切な避難場所などが挙がった。こうしたユーザーの声を反映し、コンテンツも情報もさらにブラッシュアップしていく予定だ。

「登録開始から2年が経とうとしていますが、大企業から中小企業まで広くリーダー登録していただくことが今後の目標です。多くの従業員が所属する大企業においては、発災時に取る行動の影響力が大きいため、有事に素早く判断し統制が取れるよう、迅速・確実な情報収集をしていただきたい。現状の防災の取り組みに加えて、本サービスもうまく活用していただければと思います。また大企業に比べると中小企業はBCP策定の濃淡が顕著です。大企業、特にインフラ事業者や金融機関などは非常用電源・通信の確保、非常時優先業務の選別など災害発生時でも平時と遜色のない事業継続体制を整えている印象です。一方、中小企業は人的にも予算的にも、そこまでのリソースを割くのは難しいでしょう。都の防災コンテンツの中では、家具転倒防止のアイデアや効果の高い訓練方法など、すぐに取り入れられる有効なアイデアを発信していきます」

日本の事業所には、帰宅困難者の受け入れ施設となる民間一時滞在施設も多く、世界に比べても助け合いの意識が高い。一方で共助の重要性は認識しているものの実践が難しいと考える事業所も多く、「同業他社がどう対策しているのかもっと知りたい」などの要望も聞こえている。そのため、地域での連携を促すような方法や事例の発信も今後は視野に入れていく。さらに現在、企業防災に特化したリーダー向けガイドラインも編集中だ。

事業所防災リーダーの認知度が向上していけば、登録が社内外に対するブランディングになる。防災に真摯(しんし)に取り組む姿勢は、採用活動へのポジティブな影響も期待できるだろう。まずは自社の防災対策を見直すところから始めたい。


お問い合わせ先

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事業所防災リーダー制度事務局(株式会社MAYA STAFFING内)

電話:03-6774-2425(平日9:00 - 17:00)
Mail:bousai-leader@tokyobosai.jp

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


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