労働生産性の停滞と人材育成投資で経営層と現場に温度差 生産性本部の調査が示す役職間のギャップ
月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年10月15日
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公益財団法人日本生産性本部(東京都千代田区)は10月13日、300人以上の組織で働くビジネスパーソン2945人を対象に、第3回「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」を実施し、その結果を公表した。
調査では、役職が上がるほど生産性向上を実感する一方、人材育成やデジタル技術の活用方針に役職間でギャップがあることが判明した。経営層はリスキリングやAI活用に向けた投資を拡大しているが、現場ではその効果が十分に実感されていないことがうかがえる。
経営層が生産性向上を実感するも、管理職・非管理職では実感が薄い
労働生産性の変化について、「上がった」とする回答は経営層で40.1%であるのに対し、管理職層では23.7%、非管理職層では17.2%と低く、役職が下がるにつれて生産性向上の実感が薄れる結果となった。
すべての役職で最も多かった回答は「変わらない」で、経営層で36.5%、現場レベルでは管理職層(49.1%)、非管理職層(46.5%)と半数近くに及んだ。経営層は一定の成果を実感しているものの、現場レベルでは改善の実感が乏しいことがうかがえる。
なお産業別では、製造業が33.6%と生産性向上を認識する傾向が高い一方、対人サービス業は21.7%、非対人サービス業は27.6%にとどまった。
労働生産性が低い原因で多いのは「無駄な作業・業務が多い」ことで、全体で45.0%となった。非管理職で51.1%、管理職でも44.0%と役職が下がるほど高くなり、産業別に見ても全産業共通で最も高くなっている。反対に「仕事の仕組みのデジタル化が進んでいない」は役職が上がるほど回答が多くなり、経営層で3割を超え(34.4%)、現場との問題意識に違いが生じている。
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