賃上げ促進税制2022、大企業向けガイドブック公表 マルチステークホルダー方針の手続きも解説
経済産業省は5月6日、大企業向け「賃上げ促進税制」に関するガイドブックを公表した。同税制が適用されると、雇用者全体の給与等支給額の増加額の最大30%が税額控除される。
賃上げ促進税制、教育訓練費の増額など上乗せ要件を満たせば税額控除率は最大30%に
同税制は、賃上げや人材育成への投資を積極的に行う企業に対し、雇用者給与等支給額のうち、前年度からの増加した額の一定割合を、法人税額または所得税額から控除できる制度。青色申告書を提出するすべての企業に適用される。
適用期間は2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度。「中小企業向け賃上げ促進税制」との併用はできない。
通常の適用要件は、「継続雇用者給与等支給額が、前事業年度より3%以上増えていること」で、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%が法人税額または所得税額から控除される。
さらに上乗せ要件として、「継続雇用者給与等支給額が、前事業年度より4%増えていること」を満たせば税額控除率が追加で10%、「教育訓練費の額が、前事業年度より20%以上増えていること」を満たせばさらに追加で5%上乗せされる。
一部の大企業への追加適用要件「マルチステークホルダー方針」の公表・届出手順
ただし、「資本金10億円以上かつ従業員数1,000人以上の企業」については、通常の適用要件に加え、マルチステークホルダー方針を公表していることも必要な条件だ。マルチステークホルダー方針の公表に係る要件を満たすためには次の手続きが必要となる。
(1)マルチステークホルダー方針を自社ウェブサイトに公表
適用事業年度終了の日の翌日から45日を経過する日までに、規定の様式(様式第一)を用いてマルチステークホルダー方針を作成し、自社ウェブサイトに公表する。
(2)マルチステークホルダー方針を公表した旨を経済産業大臣(経済産業省)に届出
適用事業年度終了の日の翌日から45日を経過する日までに、規定の様式(様式第二)を用いて、マルチステークホルダー方針を公表した旨を、経済産業大臣(経済産業省)に届け出る。
(3)経済産業大臣(経済産業省)が発出する受理通知書の受取
届出に不備がない場合は、届出の受理後、約15日で経済産業大臣(経済産業省)から受理通知書(様式第三)が発出される。
(4)税務申告書類に受理通知書の写しを添付
税務申告時に、税務申告書類に上記の受理通知書(様式第三)の写しを添付する。 受理通知書の写しの添付がない場合、マルチステークホルダー方針の公表に係る要件を満たさないと判断され、同税制が適用されない。
大企業向け「賃上げ促進税制」御利用ガイドブックは、 経済産業省のウェブサイトでダウンロードできる。同ガイドブックには、制度の詳細や用語の定義、旧制度(人材確保等促進税制)からの変更点などがまとめられている。Q&A集(令和4年5月6日公表版)も同時に公表されており、各様式もダウンロードできる。
中小企業向け「賃上げ促進税制」ガイドブック、Q&A集(令和4年5月6日公表版)は、 こちらからダウンロードできる。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
アクセスランキング
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
総務が押さえておくべき 2023(令和5)年に施行の法令改正情報
2023年は2022年に引き続き施行される育児・介護休業法のほか、労働基準法や労働安全衛生法、国民年金法の改正法令などが施行されます。本稿では今年に施行等される法令の中で、総務業務関連のものをピックアップしました。 -
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
総務のマニュアル
総務・バックオフィスの実務を実践的にサポートする「総務のマニュアル」シリーズ。ビジネストレンドを押さえた内容で、いま総務が知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。 -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
ハイブリッドワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。