初任給アップ時代の 賃金制度の再設計

誠実な対応が信頼につながる 賃金制度の成功を左右する設計後の運用と伝え方

株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 コンサルタント 宇井 賢
最終更新日:
2025年10月24日

前回は、賃金制度を見直すタイミングについて紹介しました。今回は賃金制度再設計の進め方や、社内への伝え方と調整のコツを解説していきます。

[賃金制度の設計ポイント(1)]基本給の設計

基本給は、賃金制度の中核を担う要素であり、以下の視点で設計することが求められます。

制度全体の骨格として位置付ける

基本給は、等級制度や評価制度と連動し、「何に対してどのように処遇するか」を示す制度の基軸です。等級ごとに役割や期待水準を明確にし、それに応じた基本給水準を整合的に設計することで、制度全体に一貫性と納得感をもたらします。

社員にとっても、自分がどう評価され、どのような位置にいるのかを理解しやすくなります。

昇給の設計(直線型/階段型など)を工夫する

毎年一定額の昇給を前提とする直線型のモデル、一定の経験や評価を経た上で大きく昇給する階段型のモデルなどを適切に組み合わせることで、各等級の滞留年数や昇格タイミングに応じたメリハリある運用が可能となります。

どのモデルが自社の人材戦略と合致するか、シミュレーションを踏まえて選択することが必要です。

採用市場における競争力も加味して設計する

特定職種や若年層の採用難に直面している企業では、支給額を市場水準と照らし合わせて見直すことが求められます。一方で、既存社員との逆転現象が起こらないよう、内部整合性との両立が前提となります。あくまで全体構造の中での見直しであることを忘れてはなりません。

[賃金制度の設計ポイント(2)]諸手当の設計

諸手当は、基本給ではカバーし切れない要素に対する処遇の手段であり、制度全体の設計思想との整合性が求められます。

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プロフィール

株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 コンサルタント
宇井 賢

国内事業会社にて経営戦略・事業戦略立案に関する業務に従事。その後、外資系コンサルティングファームにて組織・業務変革コンサルティングに従事したのち現職。中小企業診断士としても、人事領域をはじめとした幅広いテーマでの支援実績を持つ。現在は、主に中堅・中小企業を対象とした人事制度構築・運用支援業務に従事。

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