日本人、やる気ある従業員は5%しかいなかった 米企業によるエンゲージメント調査
米ギャラップ社が6月13日、グローバルの職場環境を調査した結果を発表。日本は「従業員エンゲージメント」が5%だったことを明らかにした。世界平均を大幅に下回っており、調査国全体でも最低の水準。
従業員の20人に1人しか、仕事への熱意(エンゲージメント)を持っていない
同社の「State of the Global Workplace: 2023 Report」によると、従業員の仕事や職場への関与と熱意を示す「従業員エンゲージメント」指数は、日本は、前回調査に続いて5%だった。この数値は、従業員の20人に1人しか仕事への熱意を持っていないという結果を示している。
世界平均は23%と前回より2ポイント上昇しており、同社がグローバル・エンゲージメントの測定を開始した2009年以来、最高を記録した。世界ではプラス傾向が続いており、特にインドを含む南アジアでは33%(7%ポイント増)と大きな伸びを示した。日本をはじめ、韓国・中国・モンゴルなどを含む東アジア全体では17%だった。
順位 | 国名 | 変化 | エンゲージメント% |
---|---|---|---|
1 | モンゴル | +1 | 38 |
2 | 中国 | 0 | 18 |
3 | 韓国 |
-1
|
12 |
4 | 台湾 | +1 | 11 |
5 | 香港 | 0 | 6 |
6 | 日本 | 0 | 5 |
エンゲージメントの低さとストレスの高さには関連性がある
また、「前日に大きなストレスを感じた」と回答した人の割合は、日本では42%。これは世界平均(44%)とほぼ変わらない。日本を含む東アジアのヤングワーカー(60%)とリモートワーカー(61%)は日常的なストレスのレベルが非常に高い、と同社は指摘する。
従業員のストレスの上昇は、10年以上前から世界のトレンドだ。パンデミックの影響やインフレ、家族の健康問題など、外的要因もストレスの原因になるとした上で、同社は「エンゲージメントの低さ」と「ストレスの高さ」の関連性を指摘する。
リーダーやマネージャーなどの管理職は、外的要因を変えることはできないが「労働者の生活全体のストレスに変化をもたらすことができる」と言及。同社の分析によると、従業員のエンゲージメントが高い場合、生活上のストレスが大幅に減少するという。
最低限の仕事しかしない「静かな退職者」の6割以上はエンゲージメントがない
東アジア全体を見ると、組織に在籍しながらも与えられた最低限の仕事しかしない、仕事や組織に愛着がない「静かな退職者(Quiet Quitter)」の62%が「エンゲージメントがない(Not engaged)」と回答した。これは世界平均(59%)と比べても高い数値だ。
同社の分析によると、転職を検討するためには、エンゲージメントの高い社員だと31%の給与アップの提示が必要なのに対し、エンゲージメントの低い社員は22%アップでも転職を希望することがわかっている。「今が転職するのによいタイミングだ」と考える人の割合は日本では25%と、前回調査より6ポイント減少した。一方、世界では過半数(51%)の従業員が転職の意思を表している。
同社は「管理職に覚えておいてほしいこと」として、以下を挙げている。
- 今日の典型的な組織では、ほとんどの従業員がエンゲージメントも積極的なディスエンゲージメントも持っていない
- 従業員エンゲージメントは幸福を意味しない。従業員の満足度だけを測定しているのであれば、エンゲージメントを見逃していることになる
- 「静かな退職者」は、適切な方法でコーチングされれば、インスピレーションとモチベーションを得る準備ができている
- マネージャーはエンゲージメントの要。チームのエンゲージメントの70%はマネジャーに起因しているが、多くのマネージャーもまた「静かな退職者」である
同レポートは日本以外の各国の調査結果も含んでおり、こちらから個人情報を入力すればダウンロードできる(英語)。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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