【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は?
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「移動で人を幸せに。」という理念を掲げ、さまざまなモビリティ領域で事業を展開するGO株式会社は、自社製品である次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』の導入企業に声を掛け、今年4月から2か月にわたり「DRIVE CHART交通安全運動2024」(以下、交通安全運動)を主催した。リスク運転数20%削減という共通の目的に向かい、111社がそれぞれに企業努力をした結果はいかに。
企業の危機感が醸成されている今、あらためて安全運転への意識を共有する
GOの思いに賛同した111社は、『DRIVE CHART』を導入済みであるだけに、もともと安全運転への意識は高い。とはいえ、導入から年数も経つと慣れが生じてしまうこともあった。GOスマートドライビング事業本部部長の武田浩介さんは、あらためて交通安全への意識を問い直し、モチベーション維持に取り組む会社とそうでない会社との濃淡を解消したいと考えていた。
「社会的な背景も追い風となりました。令和に入ってから、ながら運転の厳罰化や、アルコールチェック検知器による酒気帯び確認の義務化など、法令が厳格になっています。また、SNSの拡散力により、事故を起こした際の企業レピュテーションリスクが高まっていることもあり、危機感が醸成されている今が動き出すタイミングでした」
こうして開催された交通安全運動は、具体的な成果を出すことを目標にした。参加全社で、「1000km当たりのリスク運転数20%削減」を掲げたのだ。一般営業車両、トラック、タクシーなどビジネス業態も企業規模も異なる111社から、4万5000人以上の管理者・ドライバーが参加して共通の目標に向かった。すでに削減策を講じている企業にとっては、かなり挑戦的な数字だった。期間は2か月。効果測定は、『DRIVE CHART』が収集するデータで行う。目標達成のため、GOは各社と話し合いの上でそれぞれの数値を設定し、綿密なメニューを組んだ。
「われわれが普段、製品を通してお会いするのは、安全運転管理者ご担当や総務の方がほとんどです。しかし今回は、全国の拠点に在籍するドライバーのみなさん一人ひとりにアプローチできる貴重な機会となりました」
交通事故の削減には、運転の癖や気の緩みといったドライバー自身の意識改善が重要になる。『DRIVE CHART』は、AI搭載のドライブレコーダーが自覚しづらい危険シーンを解析するツールだ。内向きカメラはドライバーのようすを、外向きカメラは走行状況を捉え、「脇見」「車間距離不足」「一時不停止」「速度超過」「急加速」「急ハンドル」などのリスク運転を画像解析し、危険を可視化する。2019年のサービス開始以来、導入台数・サービス利用率ともに拡大を続け、各業界で支持されてきた。交通安全運動では、各社の目標達成を根幹から支える役割を担う。
他企業と同じ目標に向かう効果。課題の可視化で解決を支援
期間が終了したとき、結果は期待以上のものだった。1000km当たりのリスク運転数は目標を大きく上回り、25%の削減ができたのだ。参加企業社の中には、前年同期比で86%もの削減に成功したところがあったというから、劇的な効果に驚く。そもそも高かった目標をクリアし、これほどの成果を納めた要因は何だったのか。武田さんはそのポイントを次のように語る。
「まず、複数の企業で一斉に取り組んだことが良かったと思います。こうしたイベントを1社で実施すると運営部門が孤立しがちで、『やらされている感』が出てしまいます。しかし、具体的な数値目標を共有する他社の存在があると、一丸となれるのです。枠組みを大きくすることで、取り組むべき理由が一人ひとりにとって明確になり、モチベーションが上がることがわかりました」
とはいえ、掛け声だけでは成果に結び付かなかっただろう。GOは、目標設定後は2週間ごとに進捗状況をリポートするほか、管理者・ドライバー向けの教育コンテンツ(eラーニング)を提供。リスク運転数が特に多いドライバーに対する個人指導サンプルも併せて提供するなど、全面的な支援を強化している。この教育コンテンツは、最も多い企業で85%が受講したそうで、継続的な支援策がモチベーション維持につながったことは想像に難くない。
最後に、課題があらためて可視化された効果も大きい。参加ドライバーの多くが免許を取得した数十年前に比べ、今はナビやスマホなど注意のそれる要因が増えている。今回の交通安全運動がほかと一線を画すのは、改善策にAIツールを活用したことだ。事故につながる危険運転を画像解析から可視化し計測、中間報告ではKPIをチェック、参加者内で共有した。なぜ事故が起こるのかをドライバー本人が意識できなければ、リスク運転の削減は実現できない。曖昧な点を排除する仕組みが、成果を生んだのではないだろうか。
「4万5000人の管理者・ドライバー×2か月の総運転時間は膨大なものであり、その詳細をデータ化・分析・評価できたのはAIあってこそです。総じて、みんなで取り組むために一連のストーリーを作れたことが良かったのではないでしょうか」
今回の交通安全運動がきっかけとなって、自社の課題が見つかり、独自に勉強会を開催するなど、期間終了後も長期に意味のある施策につなげた企業も少なくない。目標超えの実績も含め、日本社会における交通安全に向けて一石を投じる活動になったといえる。
課題も見えた。すべての企業がうまくいったわけではなく、施策がハマらなかったところもあった。今後は後者にフォーカスし、eラーニングの内容や提供する情報へのアクセス方法などを工夫しつつ、ブラッシュアップしながら来年以降も交通安全運動を開催していく予定だ。
「交通安全運動は『DRIVE CHART』の導入企業に参加していただきましたが、それとは別に、社用車を保有する全ての企業に対象を拡大した『日経ビジネス主催 Safety Driving Award 2024』の運営にも協力しています。社用車の安全管理にまつわる優れた取り組みを表彰するもので、企業が事故削減のためにどんな努力をしているのかを広く発信し、社会全体の交通事故を減らしていくこともわれわれの使命です」
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