従業員をサーベイ疲れにさせない 正しいエンゲージメントサーベイの選び方

データを組織改善に生かす3層のアクションとは? エンゲージメントサーベイの分析と結果の活用法

株式会社リーディングマーク 専門役員 組織心理研究所所長 佐藤 映
最終更新日:
2025年07月30日

エンゲージメントサーベイを実施し、回答も集まり、リポートも完成。さて、ここからどうするかというのが、実は一番の難所です。どんなに良質なデータが集まっていても、それを活用しなければ意味がありません。そして、分析して終わりというわけではありません。データを現場の行動や制度、関係性にどう落とし込むかが、サーベイ成功の真価を決めます。最終回となる今回は、サーベイの現場運用とは別の枠組みとして、実施後のデータ活用に焦点を当て、分析の基本から、組織改善への展開、よくある壁とその乗り越え方までを整理してご紹介します。

匿名と記名で変わるデータの扱い方

まず理解しておくべきは、「匿名サーベイ」と「記名サーベイ」では、分析の深度とアクションの方法が大きく異なるという点です。

匿名サーベイでは、個人の特定ができないため、部門や属性単位での傾向分析が中心となります。たとえば、「営業部のエンゲージメントスコアが全社平均より10ポイント低い」など、組織課題の発見には適していますが、個別の支援には向きません。

一方、記名サーベイであれば、個人の傾向や変化を時系列で追ったり、性格検査などのほかのデータと組み合わせて個別支援に展開できます。マネジャーが1on1の場で「今月は少し元気がないようですね」と声を掛ける根拠にもなり、実効性のあるフォローアップが可能です。

サーベイデータをどう分析するか

分析にあたって、必ずしも高度な統計手法が必要なわけではありません。現場で使える分析の基本は以下の通りです。

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プロフィール

株式会社リーディングマーク 専門役員 組織心理研究所所長
佐藤 映

京都大学教育学部を卒業後、京都大学大学院教育学研究科修士課程で心理臨床学を修める。その後、同大学院博士後期課程、京都文教大学臨床心理学部(特任講師)を経て、2020年に株式会社リーディングマークに参画。心理臨床学の専門性を生かし、「ミキワメ 適性検査」「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」の測定ロジックやアウトプットの開発を監修。100回以上の単独セミナー講師経験や、150社以上の企業の組織分析とHRTechの活用支援を通して、人と組織のケアと成長を支援。2025年より専門役員に就任。臨床心理士・公認心理師。

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