総務部が主導するCO2フリー化推進の基本の4ステップ 効果的な進め方とは(後編)
前編では、CO2フリー化推進のステップの中で、「ステップ(2):CO2排出実績データの収集・分析」と「ステップ(3):現状CO2排出実績の開示」について取り上げました。後編では、残りのステップを見ていくとともに、企業が抱える課題を解決する方法についてご紹介します。
ステップ(4):脱炭素ロードマップ策定
本ステップは、実際にCO2排出量のデータから拠点ごとに導入の可能性のあるCO2削減施策は何か、どれくらいのCO2削減が可能か、またそれにかかわる投資金額はどれくらいで、その施策実行タイミングはいつがベストかという目標達成までの道筋を作成し、それを経営層に上げることを指します。専門部署を持たない企業にとっては最も労力がかかるステップかもしれません(図表)。
たとえば、工場の電気使用量にかかるCO2排出量を削減したい場合、省エネ、環境証書調達、小売電気事業者の再エネメニュー導入、自社発電所の設置、オンサイトPPA※1・オフサイトPPA※2(バーチャルPPA含む)など、複数の施策が考えられます。拠点・エリアごとに導入の可能性がある施策は異なりますので、各社固有のグルーピングで施策を検討していきましょう。
導入の可能性のある施策を網羅するには、サプライヤーへのヒアリングなど市場調査を通じて、施策の概要(メリット・デメリット)を把握し、それぞれ投資対効果を定量面でシミュレーションしなければなりません。 ここで気を付けておきたいのが、施策を導入する際に自社で運用体制を構築する場合、その工数・追加人件費がどれくらい発生するかも含めて試算しなければならない点です。グリーン電力証書の調達一つをとっても、サプライヤー含めず自社で調達する場合、入札等の業務フローが発生します。
複数の施策の概要や定量シミュレーションが完了したら、自社で評価基準を設計して、比較していきます。評価基準は、価格追求型で投資金額を抑えることを重視するのか、自社の業務負担が軽減できる現状運用を可能な限り変更しないことを重視するのか、各社の基準はさまざまです。総務部だけで結論が出ない場合は、該当する部署と擦り合わせの上、決定していきます。
施策の方針策定後、目標から逆算し、どのタイミングで施策の導入を開始するのがベストか、外部環境の変化も織り込んだ複数シナリオを準備しましょう。その際、円安や戦争に起因すると燃料費の高騰など、自社でコントロールできない事象が発生した場合、当初想定した投資金額より大幅に超過する可能性が出てくるため、レンジを持たせて投資金額をシミュレーションすることを推奨します。予測不可の事象や国の制度変更などに備え、施策導入タイミングを柔軟に変更できるよう、常に市況を観察する体制を構築することで実行力の担保につながります。
※1 発電事業者(PPA事業者)が需要家の敷地内に発電設備を設置して、電気を提供する仕組み
※2 発電事業者(PPA事業者)が一般送電網を介して、特定の一般需要家に電気を提供する仕組み
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