心理的安全性の高い組織のつくり方

「心理的安全性が高い=ヌルい職場」は誤解 仕事の基準を上げることで意見がいいやすい組織に

株式会社ZENTech 代表取締役 石井 遼介
最終更新日:
2024年03月01日
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近年注目を集めている「心理的安全性」。激しく変化し続ける時代において、より良い組織づくりに心理的安全性の重要性が増してきています。本稿では、心理的安全性の基礎知識から、そのつくり方までを2回にわたり解説していきます。

成果が出る組織・チームのための「心理的安全性」

「心理的安全性」という言葉が、急速に注目を集めています。2020年9月、タイトルに「心理的安全性」を冠する初めての書籍が、筆者の執筆した『心理的安全性のつくりかた』でした。それから3年、現在は30冊近くの「心理的安全性」書籍が出版され、うち15冊が2023年以降に出版されています。

心理的安全性とは、一言でいえば「チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だというチームメンバーに共有される信念」と定義されています。もう少しかみ砕くと「地位や経験にかかわらず、誰もが率直な意見・素朴な疑問をいい合える、生産的 で良い仕事をすることに力を注げるチーム・職場」のことです。

この心理的安全性があることで個々人のエンゲージメントが向上し、情報共有や意見交換の機会が増え、だからこそチームが学習・成長でき、ひいては組織全体のパフォーマンス向上につながります。

心理的安全性は人的資本経営の「土台」

筆者らが、心理的安全性を計測するサーベイ「SAFETY ZONE®」を用いて実施した1万人規模の調査でも、心理的安全性が高いチームは、そこで働く個々人のパフォーマンスが向上し、またどの年代であっても離職率が下がることが明らかになっています。

組織診断サーベイ「SAFETY ZONE®」
「SAFETY ZONE®」は、主観報告式の国際標準 COSMINを参照して開発された、科学的に心理的安全性を検証できる国内で唯一のサービスです。豊富なデータと知見(1万チームを計測)を基に「心理的安全性4つの因子」を見いだし、それぞれの因子(項目)ごとに心理的安全性をリポートします。

したがって、心理的安全性は「人的資本経営の土台」となる概念です。人的資本そのものである人材の定着を左右し、また人的資本の活用である、組織・チームのパフォーマンスを左右します。

2023年は上場企業における人的資本開示「元年」となり、多くの企業が試行錯誤しながら情報開示を行いました。現在は人材の定着、エンゲージメント、人材のスキルを中心に開示されていますが、今後はその優秀な人材がいかに組織・チームといった単位で高い成果を出せるかという「心理的安全性」の開示が重要なテーマとなっていきます。

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著者プロフィール

r-ishii

株式会社ZENTech 代表取締役
石井 遼介

慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所研究員。東京大学工学部卒。シンガポール国立大学 経営学修士(MBA)。心理的安全性の計測尺度・組織診断サーベイを開発するとともに、ビジネス領域、スポーツ領域で成果の出るチーム構築を推進。2017年より公益財団法人 日本オリンピック委員会より委嘱され、日本オリンピック委員会医・科学スタッフも務めた。著書に『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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