9月は価格交渉促進月間、価格転嫁率は4割を下回る 経産省「原資確保で中小企業の賃上げを」
月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2025年09月02日

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経済産業省は9月1日、9月に実施される価格交渉促進月間の開始にあたり、武藤経済産業大臣によるメッセージ動画をYouTube上に公開した。中小企業の賃上げ実現に向け、適正な価格転嫁による原資確保の重要性を強調し、発注側企業に対して積極的な価格交渉を呼び掛けている。
3月と9月に行われる同月間に関連して、経済産業省は毎回、中小企業を対象とした価格転嫁の実態調査を実施している。4月から5月にかけて全国約6万社を対象に行った調査では、コスト上昇分を販売価格にどの程度反映できたかを示す「価格転嫁率」が52.4%にとどまった。
さらに、帝国データバンクが7月に実施した別の調査では、価格転嫁率が39.4%と過去最低水準に低下しており、特に中小企業や価格決定権の弱い業種において価格転嫁が進まない実態が明らかになっている。
価格交渉促進月間が始動 経済産業省、発注者に求める5つの対応
武藤大臣はメッセージの中で、「価格転嫁は改善傾向にあるものの、道半ばである」と言及した上で、「中小企業や地方でも物価上昇に負けない大幅な賃上げを成し遂げるには原資の確保が不可欠だ」と強調した。
また、経済産業省は8月27日付で経済団体に向け、以下の5点について発注側企業の協力を要請している。
- 価格交渉および価格転嫁への積極的な対応
- 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の周知・活用促進
- フォローアップ調査への協力(対象:受注側中小企業)
- 下請法・下請中小企業振興法の改正内容の周知
- 「パートナーシップ構築宣言」への参加促進
これらの取り組みを通じて、中小企業の経営基盤強化と適正な取引慣行の定着をはかることが狙いとされる。
帝国データバンク調査に見る価格転嫁の実態と課題
帝国データバンクが7月に実施した「価格転嫁に関する企業の実態調査」(全国2万6196社対象)では、価格転嫁の停滞が顕著になっている。
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