ネガティブフィードバックで部下を成長させる上司になる

部下に嫌われたくない「優しすぎる上司」が増加中 信頼を壊さず指摘するネガティブフィードバック

マンパワーグループ株式会社 ライトマネジメント事業部 難波猛
最終更新日:
2025年06月02日

働き方改革の影響や、パワハラを気にしすぎるあまり、部下を叱れない「優しすぎる上司」が増加しています。そこで、実践したいのが「ネガティブフィードバック」。このメソッドにより部下との関係性が良好になり、部下が成長していく環境をつくることができます。本稿ではその目的や実践方法などを解説します。

「優しすぎる上司」問題

近年、企業から「フィードバック」、特に「耳の痛いネガティブなフィードバック」に関する相談が増えています。以前は、「厳しくいいすぎてパワハラにならないようにしたい」という方向でしたが、現在は「厳しいことをいえなさすぎる状態を改善したい」という内容が大半です。

実際に管理職研修で「普段、メンバーとのコミュニケーションやフィードバックで困っていること」を討議してもらうと、下記のようなさまざまな「いえない」悩みが出てきます。

  • 嫌われるのが怖くて必要なことでもいいにくい
  • 若手に注意すると、モチベーションを下げてしまい、辞められないか不安
  • 年上部下に対して、少しズレていても曖昧に済ませてしまう
  • 何をいってもパワハラといわれそうで過剰にオブラートに包んでしまう

こうした、部下に厳しいことをいえない「優しすぎる上司」が増えているのです。

その背景にはパワハラ防止の義務化やリモートワークの普及によるコミュニケーション不足、若手の離職リスクの増加、年上部下の増加など、さまざまな要因が複合的に絡み合っていることが考えられます。

また、優しすぎて成長に向けたフィードバックが欠如した職場は、最近では「ゆるい職場」「ゆるブラック企業」と呼ばれます。

こうした職場の場合、成長意欲が高い若手ほど、「この会社にいても成長が見込めない」と離職してしまいます。一方でベテラン社員は「何もいわれないから、今のままで定年までやり過ごしたい」と、さらにモチベーションが低下する問題も生じます。

ネガティブフィードバックの必要性

望ましい行動を承認・称賛するポジティブなフィードバックは当然重要ですが、成果や行動にギャップが生じている場合には、ネガティブなフィードバックが必要な場面もあり、両者をスキルとして習得することが組織の成長を促進します(図表1)。

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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プロフィール

マンパワーグループ株式会社 ライトマネジメント事業部
難波猛

プロティアン・キャリア協会認定アンバサダー/人事実践科学会議事務局長/日本心理的資本協会理事/ NPO法人CRファクトリー特別アドバイザー。早稲田大学卒業、出版社、求人広告代理店を経て2007年より現職。3000人以上のキャリア開発施策、2000人以上の管理者トレーニング、人員施策プロジェクトにおけるコンサルティング・研修等を100社以上担当。セミナー講師、大学講師、官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。

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