企業が押さえておくべきストライキの対処法

ストライキを起こした社員は処分できる? 参加中の賃金は? 知っておきたい対処法

弁護士法人戸田労務経営 代表弁護士・社会保険労務士 戸田 哲
最終更新日:
2024年02月14日
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前回「労組がなくても油断は禁物! 一人の小さな声から始まることもある新時代の「ストライキ」事情」ではストライキの基礎知識について解説しました。今回は、正当性のないストライキが発生してしまった場合の対処法や、反対に正当性のあるストライキへの対抗法、ストライキを未然に防ぐ方法などをお伝えします。

正当性のないストライキが発生した場合の対処法

ストライキが発生してしまった場合、会社はどのように対処をすればよいでしょうか。実際に発生した場合に慌てないように対応を考えておく必要があります。

(1)不当なストライキには速やかに抗議文書を送付する

ストライキが正当なものとして民事・刑事免責を受けるためには、各要件(主体・目的・手続き・態様)を満たしている必要があります。もし要件を満たしていないストライキが断行された場合は、速やかに対応しなければなりません。

この対応のタイミングを誤ると、会社がストライキを黙認するような形になってしまいます。社内でそうしたストライキを行うことが是認されるとの認識が広まりかねません。そうなると、その後に「ストライキは違法だ」と主張しても、「これまで認めていたことを認めなくなった理由は何か」と追及されてしまいます。

ですので、会社としては問題のあるストライキに対して、早々にストライキの正当性に疑問があることを指摘する抗議(労働組合への抗議文の送付)を行うべきです。また、ストライキを行った従業員に対しても、厳重注意や懲戒処分を行うことが必要となることもあるでしょう。

もちろん、こうした対応は労働組合との対立を鮮明化させることになります。労働組合の法的保護は厚いため、感情的な対応は禁物です。労働組合との団体交渉の経緯等を踏まえ、適切に対応することが肝要です。

(2)労働組合への差し止め請求を行う

もはやストライキの域を超える違法な争議行為が行われようとしている場合、会社はその差し止めの請求を行うことができます。裁判所を通じた仮処分という手続きを取ります。

特に、会社役員の自宅に押し掛けるなど、個人の生活の平穏、行動の自由を害するまでエスカレートし、名誉や信用をそんされるような行動を取ろうとしている場合には、当該行動の差し止め要求を行うことも必要でしょう。

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著者プロフィール

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弁護士法人戸田労務経営 代表弁護士・社会保険労務士
戸田 哲

学生時代の応援団経験から、「働く社会を幸せにする人生応援団」として、企業から労務紛争の悩みをなくすことを目指す。企業・法人等の顧問として、予防労務を行いつつ、数多くの労働事件を解決。労働組合の対応経験も多数。弁護士会、社労士会、税理士会、医師会、大学、経営者協会等、広く労務講義を届ける活動も行う。

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