省スペース・省コストをかなえる フリーアドレス時代の持たない整理術

整理収納コンサルタント 企業内整理収納マネージャー cozyroom 代表 笹田 奈美子
最終更新日:
2020年07月28日

社員一人ひとりが固定席に座るのではなく、用意された共有席やフリースペースに座るオフィスのワークスタイル「フリーアドレス制」。ICTやIoTの進展により、このフリーアドレスの導入に取り組む企業が増えてきました。

しかし、固定席がなくなると自分の持ち物を席に置くことができなくなるため、整理整頓やペーパーレス化を進めなければその実現は不可能です。大変なように思えますが、身の回りを整理することは自分自身の仕事の効率アップや働きやすさにも直結します。整理収納の観点から、モノを減らすコツや使いやすい収納方法について考えます。

持たないための収納のコツ

整理の手順

フリーアドレスでは、個人が持てるモノの量が制限されます。ですから、導入にあたり最初にすべきことは自分の持ち物を精査することです。ここでは、「全部出す」「手放す」「選ぶ」の3つのステップを踏んで整理していきます。

(1)全部出す

整理とは「不要なものを取り除くこと」をいいます。収納を考えるのは整理をしたあとです。

まず、自分自身の持ち物を引き出し単位で全部出して、机の上に広げます。自分の持っているモノの量をまず把握し、これらがこれからの自分の仕事に本当に必要かどうかを考えることが重要なポイントになります。

(2)手放す

次に一つずつ手に取って、今の時点で使っているか、使っていないか分けていきましょう(図表1)。「いつか使うかも」ではなく、現時点での使用状況で判断することが大切です。壊れているものや不要なものは破棄、自分は使っていないがまだ活用できるような状態のものについては、社内で回収ボックスなどを準備して、一括して集めるようにすると手放しやすくなります。

ほかの人も利用する資料やカタログなど、自分で管理するべきではない資料などもいったん手放します。

(3)選ぶ

会社から与えられたスペースや支給された収納用品のサイズに合わせて、必要最小限の数を決め、何を持つかを選ぶと量の目安がわかりやすいです。

ペンや付箋、メモ帳など、同じものを複数持っている場合は、自分が使いやすいものを一種類ずつ選んでいきます。ミニマム(必要最小限)の量にすることで作業は効率化され、管理もうんと楽になるはずです。

また、限定することで使う頻度が高くなるので愛着がわき、たくさんモノを持っていた頃に比べてモノをより大切に扱うようにもなるでしょう。

201903_01.jpg

個人で持つか、共有するかの判断基準

文具や書類、これらを個人持ちするべきか、共有するかは、図表2を参考にしています。

文具は、使用頻度や持ち歩きの手間を考えて、個人で持つか共有にするかを検討しましょう。書類は、極力個人持ちはしないという前提で考えます。情報は会社の資産です。個人が交換した名刺もデータ化し、社内で一元管理することで営業・マーケティングに活用できる情報になります。

201903_02.jpg

ペーパーレス化で紙を減らす

フリーアドレスを成功させる鍵となるのが「ペーパーレス化」です。書類整理はオフィスの整理の悩みの筆頭に挙がる重要課題。収納スペースの大半を占めているのも大量の書類です。

「また使いそうだと思うとなかなか捨てられない」「紙の方が見やすい」等の理由から紙の削減が難航した時代もありました。しかし、最近のICTの進化により手軽に電子化ができるようになり、ファイル共有システムとの連携で検索・活用までかなうようになりました。このことが、新しいオフィス環境作りの促進に一役買っていることはいうまでもありません。

電子化する紙・しない紙の基準

ただ、コンパクトになるからといって、すべての資料を電子化する必要はありません。将来活用するだろう、活用した方がいいと思う資料だけを電子化し、必要ない紙や保存年限を過ぎた書類は破棄しましょう(図表3)。

また、法的に保存年限が定められている国税関係書類を電子保存するには、事前に規定の承認申請手続きを踏まなければなりません。それらの書類がなくなれば一気にペーパーレス化が進むので社内整備と併せて考えてみてもいいかもしれません。

201903_03.jpg

コンパクトに収納するためには

個人持ちのものでも共有キャビネットに置くものでも、コンパクトに見やすく収納するためには守るべき3つのポイントがあります。

(1)定位置を決め、わかりやすく表示する

フロアのあちこちに同じ分類のもの(書類や備品の在庫など)が散らばっていませんか。共有キャビネットにはどの棚に何が置いてあるのかがしっかりわかるよう、必要量に合わせて定位置(モノの決まった置き場所)を決め、表示までしっかり行いましょう。

フリーアドレスでは、自分で共有スペースにモノを取りに行き、使ったあとにはまた戻すということをしなければなりません。しかもフロアが大きくなればなるほど、どこに何があるかをすべて把握するのは困難になります。

そんなときに頼りになるのが「表示」です。大まかなフロア構成と共有キャビネットのどこに、どんな分類のものがあるかだけでも頭で把握していれば、表示をたどるだけでおのずと探したいモノにたどり着くというのが理想の形です。図書館にある表示をイメージするとわかりやすいと思います。そのためには誰が見てもわかりやすい分類表示(読みやすい位置・文字サイズ)を心掛けましょう。

(2)無駄な包装や段ボールは取り除き、取りやすい収納を心掛ける

新しく届いた消耗品のストックを段ボールのまま保管していることがよくあると思いますが、箱を開封し、残り1つになっても段ボールを捨てない、袋が中途半端に破れたままになっているという例をよく見かけます。

これは乱雑な印象を受けるだけでなく、在庫が少なくなっているかどうかもわかりにくく、気が付けば発注が遅れた......どういうことがたびたび起こり、非常に非効率です。また、担当者のストレスの種にもなるでしょう。

包装は配送時の効率と商品の保護のためのものですから、使用時には取り除いて問題ありません。また、包装を取り除いて個別にすれば、既存の収納スペースに収まったり、デッドスペースが減るなどのメリットもあります。

段ボールを片付ける作業はささいなことですのであえてルールにするほどのことでも、と思ってしまいがちですが、こうしたことから無駄が積み重なっていきます。マニュアルに注意書きとして付け加えるか、あるいは収納スペースに表示を行うときに、商品名だけでなく運用ルールも合わせて記載するといったことも心掛けておくと総務の手間が軽減されます。

(3)ファイル名やサイズの規格を統一する

その場しのぎで適当なものを収納用品として使っている、書類のサイズがばらばらという場合は、同じ種類のものが固まっていても、モジュールが合わず使い勝手が低下してしまいます。

今まで使っていた収納用品が古くなってきた、キャビネットを買い替えたせいでサイズが合わなくなってしまったという場合は思い切って買い替えを検討される方がいいでしょう。費用は伴いますが、共有キャビネットはみんなで使用するため、使いにくいと感じる人が多いと作業がどんどん非効率になり、ストレスもたまります。

購入するときの注意は、「オフィスで使う収納用品はある程度数が必要になること」「一度購入したら使い続けるものであること」です。購入前に十分な検討をしてから買うようにしましょう。まず1つ購入し試用してみるという方法を取ることもお勧めです。

また収納用品の色も意識しましょう。たとえば部署ごとにファイルの色を分けたり、管理者を分けたりと、色に意味を持たせて使うことがよくあります。共有キャビネットで使うものに関しては、見た目がかわいいから、なんとなくこの色にしたという理由で選ぶことがないよう注意してください。

もし、どのような収納用品を選べばいいのか判断しにくい場合は、事前に社員にヒアリングして要望を集めるとヒントが見えてくるかもしれません。

フリーアドレスがストレスにならないように

ただし、極端にモノを減らし、仕事が回らない、使いにくくなったのでは本末転倒です。仕事が確実に回り、快適になったと感じられる収納場所・収納量を確保することが必要です。

スッキリした環境はそれだけでモチベーションも上がりますし、就職時にオフィス環境を会社の選定理由に入れたという学生も今や少なくありません。従業員みんなが快適だと思える空間作りを目指していきましょう。

※『月刊総務』2019年3月号P53-54

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

続きは無料の会員登録後にお読みいただけます。

  • ・組織の強化・支援を推進する記事が読める
  • ・総務部門の実務に役立つ最新情報をメールでキャッチ
  • ・すぐに使える資料・書式をダウンロードして効率的に業務推進
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツの利用が可能に
無料の会員登録で効率的に情報収集

著者プロフィール

201903_04

整理収納コンサルタント 企業内整理収納マネージャー cozyroom 代表
笹田 奈美子

独立系システムインテグレーター、税理士事務所勤務を経て2013年に整理収納サービスcozyroom(コージールーム)を開業。個人宅向けお片付けサポートのほか、オフィス向けに働き方改革を意識した職場の環境改善・5S指導を実施。「続けられるお片付け」がモットー。趣味はアウトドア。

特別企画、サービス