労働基準法:時間外労働の上限規制

最終更新日:2024年10月01日

時間外労働の上限規制とは

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできないという規制。働き方改革の⼀環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定された。2019年4月1日に大企業、2020年4月1日に中小企業を対象に施行されている。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできない。

  • 年720時間以内
  • 2〜6か月の平均が80時間以内(休日労働を含む)
  • 月100時間未満(休日労働を含む)

なお、「複数月の平均」とは、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」のいずれの期間においても、月平均80時間以内であることが求められる。

また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までとなる。
上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがある。

今回の変更に伴う、残業時間の上限の変更イメージは以下の通り。

残業時間の上限の変更イメージ
残業時間の上限の変更イメージ(※画像クリックで拡大)

残業時間の上限の変更により、36協定も変更する必要がある

今回の法改正によって法律に時間外労働の上限が規定されたため、36協定で定める必要がある事項が変更された。時間外労働や休⽇労働を⾏わせる必要がある場合には、以下の事項について協定した上で、36協定届(様式第9号)を所轄労働基準監督署⻑に届け出る必要がある。

  • 労働時間を延⻑し、⼜は休⽇に労働させることができる場合
  • 労働時間を延⻑し、⼜は休⽇に労働させることができる労働者の範囲
  • 対象期間と起算⽇、有効期間
  • 対象期間について、労働時間を延⻑して労働させることができる時間⼜は労働させることができる休⽇
  • 時間外労働+休⽇労働の合計が(⽉100時間未満・2〜6か⽉平均80時間以内の両方)を満たすこと

原則となる時間外労働の限度時間(⽉45時間・年360時間)を超えて時間外労働を⾏わせる必要がある場合には、さらに以下の事項について協定した上で、36協定届(様式第9号の2)を所轄労働基準監督署⻑に提出する必要がある。

  • 臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合における
    • 1か⽉の時間外労働+休⽇労働の合計時間数 (100時間未満)
    • 1年の時間外労働時間 (720時間以内)
  • 限度時間を超えることができる回数(年6回以内)
  • 限度時間を超えて労働させることができる場合
  • 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
  • 限度時間を超えた労働に係る割増賃⾦率
  • 限度時間を超えて労働させる場合における手続き

制度の詳細は、厚生労働省のパンフレット「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」や、「働き方改革特設サイト」などで確認できる。

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