線状降水帯とは、次々と発生する発達した積乱雲(いわゆる雷雲)が列をなして連なり、組織化された状態で、数時間にわたりほぼ同じ場所を通過または停滞することで形成される、線状に伸びる雨域のことである。この雨域は、長さが50~300km、幅が20~50km程度に及び、非常に強い雨をもたらすのが特徴である。
近年、この線状降水帯が原因となる大雨によって、毎年のように各地で甚大な災害が発生しており、社会全体としてその危険性への認識が高まっている。線状降水帯が発生すると、大雨災害の危険度が急激に高まるため、住民や事業者にはより高い警戒が求められる。
ただし、線状降水帯の発生メカニズムには未解明な点も多く、正確な予測は困難である。そのため、今後も継続的な研究が必要とされている。
線状降水帯に関連する主な気象情報には、次の2種類がある。
これは、「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準を満たす可能性が高いと予想される場合に、気象庁が半日程度前から「線状降水帯」という言葉を使って注意喚起を行うものである。これは警戒レベル相当情報を補足する形で発表され、住民に早めの備えや避難行動の準備を促す目的がある。
この呼びかけがあったからといって、必ず線状降水帯が発生するわけではないが、大雨になる可能性が高いとされる。呼びかけがない場合でも、大雨災害の危険があるときは、他の気象情報や避難情報とあわせて、総合的に判断し行動することが重要である。
この情報は、線状降水帯によって非常に激しい雨が実際に同じ地域で降り続いているときに発表されるものである。「線状降水帯」というキーワードを用いて、大雨による災害の危険性が非常に高まっていることを知らせる。警戒レベル4相当以上の状況で発表されることが多い。
発表基準は、現在、10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて、次の4つをすべて満たす必要がある。
この情報が発表された際には、すでに災害発生の危険が非常に高い状態であるため、直ちに身の安全を確保する行動が求められる。