消防訓練:消防査察

最終更新日:2010年03月01日

大規模な事業所になると毎年、その他の事業所でも数年おきに、管轄の消防署による消防設備及び防火施設に関する査察が行われる。チェックされるポイントは、避難通路における避難障害、スプリンクラーの稼動範囲内での散水障害、間仕切りで囲われた小部屋における煙感知機の未警戒区域のチェック、避難誘導灯が適切に目視できるかのチェック、その他にも、消火器の適正配置や屋内消火栓の扉の開閉障害とホースやノズルのチェックが行われる。指摘された事項については、しかるべき時期に是正を行い、その結果を消防署へ報告することになる。査察が実施されるので、あわててキャビネットの上に置いてある物品を片付け、査察が終了すると元に戻すことが良く行われる。分からないでもないが、実際に危険な状態であることは間違いない。一度是正したら、是非継続されるよう、防火担当者は努力すべきである。

●避難障害

通路上、特に避難誘導灯が設置してある出入口に向かっている通路上に、段ボール箱や備品などが置いてあり、それらを避けながらでないと出入口に行けない場合、「避難障害」として改善を求められる。基本的に、通路上に物が放置されている状態は避けるべきである。避難階段やその踊り場、避難階段に通じる扉付近に物を置いてある場合は、量の多少にかかわらず、全て除去するように指摘される。物があって避難階段の扉が開けにくいとか、階段、踊り場に物を置くことは絶対に避けるべきである。

●散水障害

1800mm以上の高さのあるキャビネット上に置いてある段ボール箱や書類により、または、後から施工して取り付けたパーテーションにより、消火用のスプリンクラーが十分に機能しない(それらに遮られ、水が予定している場所に届かない)場合、「スプリンクラーの散水障害」として、それらの除去、或いは撤去、スプリンクラーの増設を求められる。基本的には、キャビネットの上には物を置いてはならないが、特にスプリンクラーが近辺にある場合は絶対に置かないこと。パーテーションを設置する場合は、その近辺にスプリンクラーがある場合、欄間を必ずあけて、水の動線を確保する。それでも欄間を閉じたい場合は、或いは、欄間は開けているものの、角度によりパーテーションが水の動線を妨げてしまう場合、水が遮断されてしまう側に新たにスプリンクラーを設置しなければならない。水道管を引き回すので、簡単には済まなくなる。

●煙感知機の未警戒

事務室の一角に完全に欄間を塞いだパーテーションにより、小部屋を作り、その小部屋の中の天井に煙感知機がない場合、その小部屋では火の手を感知できなくなる。このような場合、「煙感知機の未警戒区域」として、パーテーションの欄間開け、若しくは小部屋に煙感知機を新たに設置するように指摘される。このような小部屋を作りたい場合、既存の煙感知機を取り込むように、小部屋を設置することである。

●避難誘導灯

避難誘導灯はそれが設置されているフロアからは、どこからでも見えるようにしなければならない。背の高いキャビネットやパーテーションの設置、或いは営業会社でよくあるが、垂れ幕により、一部の場所で避難誘導灯が見えなくなるような状態は指摘事項となる。広いフロアだと、当然上記のような状態は発生してしまう。その場合は、誘導灯を増設し、その誘導灯を辿っていくと避難口に辿り着けるように、まさしく誘導するようにするのである。また、誘導灯が設置してある扉にコピー機や、その他簡単には移設できないものを設置して、避難口を塞いでいる場合がある。本来なら、それらの物を撤去して避難口を生かさなければならないが、2方向避難の原則に則って、その他に2つ以上の出入口が存在するならば、その場合は、むしろ誘導灯を撤去し、その他の出入口に誘導するように誘導灯を設置しておく。避難できない扉に誘導することのないように。

(執筆:『月刊総務』)

消防訓練 に関連するその他の用語

消防査察に関連する記事(総務・人事・広報・法務・イベント情報)

特別企画、サービス