月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい8月のトピックス

2019-07-26 10:12

2019.August

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●特許法の改正

 2019年5月10日、特許法等の一部を改正する法律が国会で可決・成立し、5月17日公布されました。特許法においては、特許権の侵害を受けた側の立証や侵害の抑止が困難である現状を受け、査証制度の導入、損害賠償額算定方法が見直されました。
 査証とは、特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が被疑侵害者の工場等に立ち入り調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度です。これにより、被侵害者が裁判所を利用して容易に証拠の収集ができるようになります。
 損害賠償額算定方法の見直しは、(1)侵害者が得た利益のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分を、侵害者にライセンスしたとみなし、損害賠償を請求できること、(2)ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害を前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨が規定されました。なお、改正は実用新案法、意匠法・商標法にも及び、損害賠償額算定方法の見直しは、これらも同様の改正となります。
 また、意匠法は、保護対象が拡大され、物品に記録・表示されていない画像や建築物の外観・内装のデザインが新たに意匠法の保護対象とされました。関連意匠制度の見直しがなされ、意匠権の存続期間が出願日から20年から25年に伸長された上、登録出願手続きが簡化され、間接侵害規定が拡充されています。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●法改正(1)女性活躍推進法

 2019年5月29日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立し、5つの関連法が改正されました。まず注意すべきは、女性活躍推進法における「一般事業主行動計画」の策定義務の対象が拡大されたことです。従業員数300人超の会社は、「自社の女性の活躍に関する現状分析」「課題解決のための行動計画の策定・届出」「情報の公表」の義務がありますが、法改正により、従業員数100人超に引き下げられました。
 なお、施行日は公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

●法改正(2)パワハラ防止法

 労働施策総合推進法が改正され、パワーハラスメント防止に関する会社の義務が定められました。パワハラについては、グレーな部分が多くその定義が注目されていました。改正法は「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と規定し、会社に相談体制の整備等を求めています。悪質な場合には、企業名を公表することも規定されています。
 なお、施行日は公布の日から起算して1年(中小企業は3年)を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●消費税の軽減税率の対象とならない外食

 消費税の軽減税率制度において、外食は標準税率が適用されます。ここでいう外食とは「テーブル・椅子・カウンターなどの飲食設備がある場所で、飲食料品を飲食させる役務の提供」であり、レストランやフードコートでの飲食を指します。飲食設備があるコンビニエンスストアなどは、利用者に飲食設備利用の意思確認を行い、利用する場合には標準税率が適用されます。
 なお飲食設備とは、「飲食に用いられる設備」と定義され、飲食のための専用設備である必要はなく、店舗の外に設置してあるベンチも、飲食に用いられていれば飲食設備に該当します。

●役員退職金の計算方法

 役員退職金は、一般的に功績倍率法による計算方法「最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」が広く用いられています。不相当に高額でなければ、法人税法上、損金算入が認められます。功績倍率は、役員の会社に対する貢献度等を反映した倍率であり、役職により2倍から3倍が一般的な水準とされています。役員退職金を支払う際は、事前に役員退職金規程を整備し、適正な功績倍率を決めておくことも重要です。
 ただし、役員就任期間が著しく短いケースなどにおいては、功績倍率法を適用しても税務上否認されるケースもあります。役員退職金は多額となるケースも多く、判断に迷った場合には税理士などの専門家に相談することが大切です。

『月刊総務』2019年8月号P7より転載