月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい11月のトピックス

2019-10-29 09:51

2019. November

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●知財調停制度のスタート

 2019年10月1日から東京地裁と大阪地裁にて知財調停が始まりました。知的財産権の紛争は、専門的な知識が必要であり、一般的な民事調停手続きで解決することは困難でした。そこで、裁判所は知財の専門部がある東京地裁と大阪地裁において、訴訟以外の紛争解決手段として専門部による知財調停を導入したのです。
 知財調停は、申立人が相手方に対し、紛争内容を特定して裁判所に調停の申し立てを行い、専門部の裁判官と知財事件について経験豊富な弁護士や弁理士が調停委員となって、双方の主張を聴取しながら、話し合いによる簡易かつ迅速な解決をはかる制度です。また、訴訟事件と異なり申し立ての有無を含めて情報が公開されることはありません。
 手続きの流れは、当事者の事前交渉を前提として、第1回期日までに両当事者の主張と関連する証拠を提出させ、原則として第3回調停期日まで(期間的には4か月程度)に調停委員会の見解を口頭で伝えるそうです。調停委員会の見解には、争点についての心証の開示に限らず、立証の困難度や事案の複雑性に鑑み、訴訟等による解決が適しているなどの意見が含まれます。当事者は委員会の見解を踏まえて、話し合いによる解決に進むか、訴訟等の提起を選択することが可能となります。
 なお、当事者が遠隔地に所在する場合、テレビ会議等を利用した手続きも可能です。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●副業・兼業の在り方についての報告書

 厚生労働省が「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表しました。副業・兼業は、働き方改革の一環と位置付けられています。報告書は、「健康管理」「上限規制」「割増賃金」の方向性について考えられる選択肢を示していますが、いずれの論点も両論併記であり、明確な方向性が示されたとはいえない状況です。副業・兼業を進めることは、それだけハードルが高いといえるでしょう。
 最大の論点は、?労働時間を通算するか否か?です。複数の会社の労働時間を通算するには、技術的な困難を伴います。また、個人事業主としての副業・兼業を想定する必要もあります。副業・兼業の影響で過重労働となってしまっては、働き方改革とはいえないでしょう。今後の審議会での議論が注目されます。

●2018年度、賃金不払い残業の是正結果

 2019年8月8日、厚生労働省は割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を公表しました。1,768の企業に対して、約125億円の支払いが指導されています。支払われた割増賃金の平均額は、一企業当たり711万円、労働者一人当たり11万円となっています。
 支払総額は、前年度と比べ大幅に減少していますが、指導された企業数はさほど減少していませんので、引き続き注意が必要でしょう。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●「区分記載請求書等保存方式」の導入

 消費税の仕入税額控除の方式として、「区分記載請求書等保存方式」が2019年10月1日から導入され、(1)課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、軽減対象資産の譲渡等である旨、(2)税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込対価の額の2項目の追加記載が必要になりました。
 前記事項の記載のない請求書等が交付された場合、交付を受けた事業者が項目を追記し、仕入税額控除を行うことが認められています。
 また、3万円未満の取り引きでは、法令に規定された事項が記載された帳簿の保存のみで、仕入税額控除の適用が認められています。


●消費税率を変更する変更請負契約書の収入印紙

 消費税率を変更するため、変更請負契約書を作成するケースがあると思います。請負代金の消費税額が区分記載されている変更請負契約書は、消費税額を除いた記載金額で印紙税の税率判定を行います。たとえば「変更前の請負代金108万円(うち消費税等8万円)、変更後の請負代金110万円(うち消費税等10万円)」の場合、消費税額を除いた記載金額の増額はないため、契約金額の記載のない請負契約書として、200円の収入印紙を貼付します。
 なお、変更前後における消費税等の差額が1万円未満だった場合、免税点以下として、収入印紙の貼付は不要とされています。


『月刊総務』2019年11月号P7より転載