月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい12月のトピックス

2019-11-26 10:06

2019. December

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●民事訴訟期間短縮化への動き

 法務省が最高裁と連携して民事裁判期間の短縮化に動き出しています。最高裁と法務省が参加する研究会は、民事裁判のIT化を前提に、2018年時点で平均16か月を要している第1回口頭弁論期日から結審までの期間を、6か月で終結させることを目標に掲げています。
 民事裁判は、訴えの提起を紙ベースの訴状で裁判所に提出することから始まり、訴状提出後1か月以上先の口頭弁論期日が指定されます。被告が争う事件では、被告の答弁書提出後、1か月ないし2か月ごとに行われる数回の弁論期日を経て、訴状提出半年から10か月ないし1年後に、複数人を対象とする証人尋問が集中的にほぼ1日で行われ、その後、最終口頭弁論期日を経て結審するという日程となっています。
 これに対し、新たな制度では、ウェブサイト経由による訴状や答弁書等の書面の裁判所への提出義務を前提に、書面提出数を3通まで、文字数やページ数も制限することで、短期間で集中的な審理が可能となります。ただし、新たな制度が適用される事件は、民事裁判における争点を大幅に絞り込む必要があることから、民事訴訟に関する専門的知識を有する弁護士が代理人となっている事件に限られるそうです。
 前記研究会は、民事訴訟において争点が絞られ、書面や証拠も限定されることから、迅速な被害救済や企業における訴訟管理の簡便化につながると考えているようです。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●11月は「過重労働解消キャンペーン」

 厚生労働省は、「過労死等防止啓発月間」の一環として、11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施します。この期間は、労働基準監督署による企業への重点監督が実施されます。対象となる事業場は、過労死等に係る労災請求が行われた事業場やハローワーク等に寄せられた情報から離職率が極端に高いなど、若者の使い捨てが疑われる企業等です。
 重点的に確認される事項として、(1)時間外・休日労働が36協定の範囲内であるか、(2)賃金不払い残業が行われていないか、(3)労働時間を適正に把握しているか、(4)医師による面接指導等が確実に講じられているか、の4点が挙げられています。重大・悪質な違反が確認された場合には、書類送検や企業名が公表される可能性もありますので注意が必要です。

●無期転換ルールへの対応状況

 独立行政法人労働政策研究・研修機構が、「無期転換ルールへの対応状況等に関する調査」の結果を公表しました。この調査によると、無期転換を希望する有期契約労働者は26.6%、希望しない割合が33.1%になっています。
 希望しない理由の1つとして、「契約期間だけなくなっても意味がないから」(27.5%)が挙がっており、雇用不安がなくなるだけでは、意味がないと考える有期契約労働者が一定割合存在することがうかがえます。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●住宅ローン控除の拡充

 消費税増税に伴い、2019年度税制改正において、10%の税率が適用される新築建物等を取得し、かつ、2020年12月末までに入居した場合に係る住宅ローン控除について、控除期間が最長で13年間(現行10年間)とされることになりました。延長された11年目以降は、「住宅ローン年末残高の1%」と「建物価格(税抜き)の2%の3分の1に相当する金額」の、いずれか低い額が控除対象額とされます。
 なお、11年目以降を除き、すまい給付金や住宅取得資金の贈与を受けた金額は、住宅ローン控除限度額の計算上、家屋等の取得価額から控除します。

●死亡した場合の個人住民税

 個人住民税は前年の所得に対して課税する「前年課税」であり、賦課期日は「その年度の初日の属する年の1月1日」です。そのため、年の途中で亡くなった場合(例:2020年5月)、賦課期日は2021年1月1日となり、この日を基準として課税の有無を判定します。その結果、2020年分の所得に対する2021年度の個人住民税の課税はなしとなります。
 また、死亡した年度(この場合は2020年度)の住民税は賦課期日の2020年1月1日現在は生存しているため、納税義務があります。死亡日現在で未納税額がある場合には、相続人などが納付することになります。


『月刊総務』2019年12月号P7より転載