月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい6月トピックス

2021-05-28 16:48

2021.June

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●株主提案議案可決の顛末(てんまつ)

 2021年3月19日、総合電機メーカーT社の臨時株主総会が開催され、株主が提案していた議案が可決されました。その議案は、昨年7月に開催された臨時株主総会について、会社法第316条第2項に基づく会社の業務および財産の状況を調査する者を選任する内容でした。
 なぜなら、昨年の株主総会における議決権行使書の集計作業で、有効な議決権行使が無効なものと扱われていたからです。
 証券代行サービスを担う信託銀行と信託銀行から委託を受けて実際の作業を行った会社が、議決権行使書を実際の配達日より1日早く送達を受けたにもかかわらず、議決権行使書が持ち込まれた日ではなく、配達が予定されていた日を基準に議決権行使書の有効性を判断したため、期限後の扱いとして集計から除外したのです。
 また、会社から不当な圧力を行使されて議決権行使を断念した株主がいるとの主張もされていました。なお、会社側は社外取締役で構成する監査委員会等において調査した結果、そのような事実は存在しないと反論していました。
 そこで、一部株主から上記議案が提案され、3人の弁護士が調査者として選任されることとなりました。わが国の上場企業において株主が提案した議案が可決されることは珍しいことですが、T社における外国人株主の比率は6割を超えており、今後も株主提案権の行使やこれに対する支持率の上昇が見込まれます。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●テレワークガイドライン改定版

 2021年3月25日、厚生労働省がテレワークのガイドラインを公表しました。2018年に公表されたガイドラインの改定版であり、良質なテレワークを推進するために幅広い分野にわたって言及されています。この中では、従業員からの自己申告により把握した労働時間が、実際の労働時間と合致しているか否かの確認が重要です。従業員から申告された時間以外の時間にメールが送信されている場合には、「所要の労働時間の補正をすること」とされています。つまり、メールの送信時刻によっては、あらためて時間外勤務手当を支給する必要に迫られる可能性があります。


●地方労働行政運営方針

 労働基準監督署の実施する臨検(立ち入り調査)は、三段階のプロセスを経て計画されます。まず、厚生労働省が「地方労働行政運営方針」を公表し、次に、都道府県の労働局は、この方針を基に地域の実情に合わせた「都道府県労働局行政運営方針」をあらためて作成します。各労働基準監督署は、都道府県労働局の方針にのっとり監督計画を作成することになります。
 厚生労働省が2021年4月1日に公表した「令和三年度地方労働行政運営方針」によると、1か月当たり80時間を超える長時間労働が疑われる事業場に対する臨検を引き続き実施することが明記されていますので注意が必要です。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●新型コロナ特別利子補給制度の収益計上時期

 新型コロナ特別利子補給制度による利子補給金は、融資に係る最長3年分の支払利子相当額が利子補給額として事前に一括で交付されます。ただし、融資契約等の変更で利子相当額が変動した場合、3年経過後に実際に支払った利子相当額に基づき利子補給額が確定します。
 収入の収益計上時期は、原則、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります。新型コロナ特別利子補給制度による利子補給金は、一括で利子補給額の交付を受けますが、実質的に支払利子を無利子とするために交付されますので、交付決定日時点では、収益として確定していません。収益の計上時期としては、その支払利子の発生に応じて、その発生する利子相当額と同額を計上します。


●住宅取得等資金の贈与と住宅ローン控除の併用

 親等から住宅購入資金の贈与を受けて住宅を取得等する場合、一定の要件を満たせば住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の適用を受けられ、さらにその家屋に一定の住宅ローンがあれば、住宅ローン控除を併用することができます。
 両制度を併用する場合、「住宅の取得価額等」から「贈与の特例を受けた受贈額」を差し引いて住宅ローン控除を計算する必要がありますが、それを差し引かずに計算する誤りが多く、国税庁より申告の誤りが多い事例として公表されており、申告にあたっては注意が必要です。


『月刊総務』2021年6月号P7より転載