月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい7月トピックス

2021-06-29 11:02

2021.July

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●コーポレートガバナンス・コードの改訂

 コーポレートガバナンス・コードが改訂されました。重要なポイントは、2022年の新市場区分移行後の「プライム市場」の上場企業に対し、独立社外取締役の3分の1以上の選任を求めるべきとのルールが創設されたことです。複数の独立社外取締役を選任し、3分の1以上の数をそろえる上場企業も増えていますが、コーポレートガバナンス戦略的には、構成比三分の一はスタート地点にすぎないことを上場企業の経営陣はあらためて知るべきです。それでは、プライム市場に上場する企業は、コーポレートガバナンス戦略をどのようにすべきでしょうか。
 まず、独立社外取締役を取締役会議長にすることが考えられます。多くの上場会社では、代表取締役社長または会長が議長を務めているようですが、業務執行権を持たない業務について中立的な社外取締役が議長を務める方が審議の充実をはかれるのではないでしょうか。
 次に、報酬・指名委員会の活性化があります。多くの上場会社において、報酬・指名委員会が設置されているところですが、執行側の追認機関となっていないでしょうか。そもそも独立社外取締役を構成員とする報酬・指名委員会の存在意義は、取締役の報酬および指名の客観性と透明性を確保することにあると解されます。そのためには、CEOを諮問委員会の構成員から外し、独立社外取締役のみによる積極的な議論がなされることが肝要であると考えられます。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●賃金のデジタル払い

 2021年4月19日、労働政策審議会労働条件分科会において、賃金のデジタル払いに関する制度設計案が示されました。賃金のデジタル払いは、利便性の向上や制度化のニーズから求められる半面、不正引き出しや換金性のリスクが問題視されており、労働側から慎重な対応を求める意見もあります。
 制度設計案によると、現行の銀行振り込みなどの支払い方法を維持した上で、あくまでも労働者自身の同意が得られた場合に、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座へ支払いを認めるものとされています。資金移動業者には、労働者の責任によらない理由により損失が生じた場合には、その損失を補償する仕組みを持つことなどが求められています。


●遠隔による産業医の職務

 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、産業医を選任する義務を負っています。産業医は、原則、その事業場において職務を実行しますが、情報通信機器を用いて遠隔で実施することも可能です(基発0331第4号・2021年3月31日)。たとえば、長時間労働となった労働者への面接指導やオンラインで開催される安全衛生委員会等への出席が挙げられます。
 なお、少なくとも毎月1回実施する必要のある定期巡視は、産業医が実地で実施する必要があります。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●在宅勤務下の残業食事代

 残業等の際、従業員が食事を購入し、事後的に領収証等により食事代を実費精算した場合、この食事代に対する給与課税はありません(所得税基本通達36-24)。
 これは、在宅勤務で残業した場合の食事代でも同様の取り扱いとなります。ただし、この通達は通常の勤務時間外に勤務した者についての取り扱いであるため、在宅勤務について適切な労務時間管理がなされている必要があります。


●コロナ禍での役員給与の減額改定

 法人税において、年度の中途で役員給与を減額した場合にその損金算入が認められるのは、経営が著しく悪化したことなど、やむを得ず減額せざるを得ない事情(業績悪化改定事由)がある場合に限られます。
 たとえば、新型コロナウイルス感染症の影響により、業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からやむを得ず役員給与を減額しなければならない場合、またはこれまでのような売り上げが見込めず、回復の見通しも立たないため、役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ、客観的な状況から判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避である場合における役員給与の減額改定は、業績悪化改定事由による改定に該当するとされています。

『月刊総務』2021年7月号P7より転載