コラム

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中小企業のメンタルヘルス〜0次・1次予防の実践へ
【第1回】はじめに〜中小企業こそメンタルヘルス対策を!

2014年12月09日

こんにちは、健康経営コンサルタントの宮川浩一です。

私は、健康経営の実践を標榜し、主に中堅・中小企業向けに企業風土改革や職場改善を通じた0次・1次予防(未然防止)を中心としたメンタルヘルス対策の支援をしております。

本コラムでは企業、とりわけ中小企業のメンタルヘルス問題の実情や課題、0次・1次予防の取り組みとして有効な施策等を取り上げてみたいと思います。


現在、メンタルヘルス対策を実施する企業は大企業を中心に増えてはいるものの、なかなか不調者が減少していない現状があります。

中でも全国の企業数の99%、総従業員数の70%を占める中小企業では、十分なメンタルヘルス対策が行われていないのが実情です。中小企業が加入する全国健康保健協会(協会けんぽ)の2012年度傷病手当金の支給においても精神及び行動の障害が25.55%で最も高く、次いで悪性新生物(20.15%)、循環器系の疾患(11.56%)となっており、従来トップだった悪性新生物を抜いて増加の一途にあります。

このような状況は、限られた人材に頼る中小企業にとって、大企業以上に経営へのリスクインパクトが大きくなっているのです。

例えば、最近の傾向としてハラスメントや過重労働等で精神疾患を患い、自殺等に至った場合、安全配慮義務違反などを問われ、労災から訴訟に発展するケースも多く、多額の損害賠償請求を求められるケースも増えています。

大企業では時に数千万〜億のお金を支払ったケースをよく耳にしますが、中小企業ではどうでしょうか。
このような高額の支払いではおそらく倒産せざるを得ない企業も少なくないでしょう。損害賠償金額は企業規模、支払い能力等に関係なく決定されるのです。

中小企業の抱えるメンタルヘルス問題が引き起こす結果は、大企業と比べ、人材や組織、財政基盤が脆弱なことから、その与える影響は大きく状況が異なるのです。

このように経営上のリスクマネジメントの点からも中小企業におけるメンタルヘルス対策は喫緊の課題になっているといえます。

しかしながら、中小企業がメンタルヘルス対策に取り組んでない理由として、不調者の発生の頻度やその認識不足から「必要性を感じない」というものもありますが、「どう対応していいかわからない」、「専門人材がいない」、「コストがかかる」といった回答からわかるように人材や財政的に余裕のある大企業と同じようなレベルの対応が難しい環境があります。

そこで中小企業だからこそ、使える資源をうまく活用することでコストを抑えながら優先順位をつけて効率的にメンタルヘルス対策の仕組みを作っていくことが必要になります。
中小企業で重要なのはやはり企業体として生産性を上げ、成長していくことです。また、中核人材等の休職者が発生すると経営への影響は計り知れないものがありますので不調者を発生させない取り組みが重要です。


この観点に立つとやはり、3次予防(職場復帰と再発防止)、2次予防(早期対処と受診勧奨)から1次予防(早期発見と職場調整)に重点を移していき、更に0次予防と呼ばれる健全な組織運営が行われる職場風土づくりに取り組むことが最も重視すべきメンタルヘルス対策といえます。

0次・1次予防の取り組みは職場の生産性向上や業績アップに加え、結果としてメンタルヘルス不調者の発現を抑え、自然な形でのメンタルヘルス対策を可能とする取り組みなのです。

宮川 浩一
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