最低賃金の上昇、「何らかの対策を取る」企業は6割超 中小企業はコストカットで対応
月刊総務 編集部
最終更新日:
2023年08月21日
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東京商工リサーチ(東京都千代田区)は8月18日、2023年「最低賃金引き上げに関するアンケート」調査の結果を公表した。最低賃金の上昇に対して、「何らかの対策を取る」と回答した企業は6割超に上った。一方で「できる対策はない」と回答した企業も1割を超えた。
対策は「価格転嫁」に「設備投資による生産性向上」、「雇用人数抑制」も
厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月に、2023年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申を取りまとめた。最低賃金の目安額は前年度から41円上昇、全国加重平均で1002円となった。
賃金の上昇に対する具体的な対策として、「商品やサービスの価格に転嫁する」が最も多く36.3%(1774社)だった。次いで、「設備投資を実施して生産性を向上させる」が23.4%(1146社)、「雇用人数を抑制する」12.4%(610社)と続いた。一方、「できる対策はない」と回答した企業は11.2%(549社)だった。
中小企業は「コストカット」で人件費を捻出
規模別で見ると、製品やサービスに賃金上昇分を転嫁できる大企業に対して、中小企業ほどコストカットによる余剰資金で人件費を捻出せざるを得ない状況が浮き彫りになった。
「雇用人数を抑制する」と回答した中小企業は12.9%(562社)で、大企業の9.0%(529社中、48社)を3.9ポイント上回った。「設備投資を抑制して財務負担を低減させる」も中小企業が7.1%(312社)だったのに対し、大企業は4.1%(22社)と3.0ポイントの差があった。
同社は「企業の自発的な賃金引き上げを促すには、価格転嫁に向けたサポートや各種税の引き下げ、収益力を高めるための投資支援など、即効性のある対策が急務になっている」とコメントしている。
許容できる賃金上昇幅は「50円以上」と「50円未満」が拮抗 、「許容できない」も15.9%
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