労働条件や職場環境の見直し、人材確保に有効 厚労省の研究会報告書でも言及
厚生労働省は11月13日、第190回労働政策審議会労働条件分科会を開催し、労働基準法制の課題や今後の方向性を検討する有識者会議「新しい時代の働き方に関する研究会」が作成した最新の報告書を確認した。
報告書では、今後の労働基準法制の方向性について、「働く人の健康確保」や「働く人の選択・希望の反映が可能な制度」「労働基準監督行政の充実強化」など項目に沿って整理。また企業による自主的な労働環境改善の取り組みは、人材確保の好循環につながるという見方を示した。
労働基準法、制定当時では想定されなかった新たな課題への対応が必要に
報告書の中では、企業へのヒアリングやアンケートを通じて、以下のような企業が抱える課題や希望を抽出しまとめた。
働く人の健康確保
- リモートワークなどにより働き方や働く場所が多様化する中、個々の健康に係るリスク要因をどのように把握し対応すればよいのか
- 法定外の健康管理の在り方をどう構築するのか
同報告書では、働き方や働く場所が多様化し健康管理の仕組みが複雑化する中、企業の間では健康経営を掲げて実年齢と健康年齢の差を縮めるための施策を講じる企業や、睡眠時間やメンタルヘルスの状況など、個々のコンディションをアプリなどで把握するなどの活発な動きが見られるとした。
その上で、今後も労働者の健康管理や勤務時間外・休日などにおける業務上の連絡などの在り方、必要に応じて使用者と十分にコミュニケーションを取れる環境を整備することなどについて議論が必要であるとした。
働く人の選択・希望を反映できる制度設計
- 労働者と同意を得た上で労働時間制度をより使いやすくできるよう柔軟にしてほしい
- フリーランスなど、従来の労働基準法制のみでは有効に対応できない場合、従来の労働基準監督署による監督指導はなじまない
- フリーランスなどの個人事業主の中には、業務に関する指示や働き方が労働者として働く人と類似している者も見られる
- リモートワークの浸透により、オフィスに寄らない事業を行う事業者など、事業場単位で捉えきれない労働者が増加している
- 働き方・キャリア形成に関する働く人の希望が個別・多様化し、多様性を重視した雇用管理・労務管理を実施する企業が増えている
- 過半数労働組合・過半数代表に加えて、さまざまな形での労使コミュニケーションを積極的に活用しているようすも見られる
労働基準法制定当時では想定されなかった新たな課題が発生しており、働く人すべてを念頭に監督指導の在り方を検討するなど、時代に合わせた見直しが必要だと強調した。
このほか、非正規雇用労働者の増加や労働組合組織率の低下などの状況を踏まえ、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方についての検討とともに、労使の選択を尊重し、その希望を反映できるような制度の在り方も検討するべきとした。
以下に示されるデータでも、年々ワークライフバランス等が重視される傾向が強まっていることがわかる。
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