面接前の関係づくりでミスマッチを防ぐ 企業と求職者のギャップを埋める「カジュアル面談」とは
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企業と求職者が選考に関係なく、気軽に話し合う「カジュアル面談」。面接では見えにくい価値観や会社の雰囲気、働く上で重視するポイントを相互に理解し合うことで、入社後のギャップやミスマッチを減らし、定着率向上などにつながると注目されています。本連載では、そのメリットや、新卒・中途別の実践ポイントなどを解説します。今回は、まず「カジュアル面談」とは何か、その基本を整理します。
注目されている背景
近頃、採用の場面でカジュアル面談という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、従来のように合否を前提とした堅い面接ではなく、企業と求職者が対等な立場で気軽に話をする、非選考型の面談のことを指します。
こうしたカジュアル面談が注目される背景には、社会や働き方に関する大きな変化があります。まず挙げられるのは、働く人の価値観が多様化していることです。終身雇用や年功序列といった昔ながらの働き方が見直される中で、「自分に合った職場で働きたい」という思いを持つ人が増えてきました。その結果、給与や企業規模だけでなく、社風や仕事内容、働く人との相性など、さまざまな視点から企業を選ぶようになってきています。
中途採用では、求職者が複数の企業を比較検討するのが当たり前になっており、企業側も「選ばれる立場」であることを強く意識しなければなりません。そのため、選考の前に会社の雰囲気や考え方を直接伝えることができるカジュアル面談は、信頼関係を築く上で有効な手段となっています。
このような動きは、新卒採用の場にも広がりを見せています。Z世代の学生は、「どのような企業か」だけでなく、「どのような人と働くか」「どのような働き方ができるか」といった点を重視する傾向があり、企業研究の方法も資料を見るだけではなく、「実際に社員と話す」というスタイルを取る人が増えてきました。そのため、カジュアル面談は企業説明会やインターンシップでは伝え切れない、現場のリアルな雰囲気を知ることができる貴重な機会として、再評価されています。
カジュアル面談はただの「雑談の場」ではなく、企業と求職者が互いを知り、信頼関係を育むための対話の場です。情報があふれる今の時代だからこそ、言葉やデータだけでは伝わりにくい「組織の温度感」や「人の雰囲気」を共有できるこの手法は、ますます重要になっていくはずです。中途でも新卒でも、「選考の前にじっくり話す」というスタイルが、これからの採用活動のスタンダードになりつつあります。
面接との違い
これまで、採用活動において企業と求職者が初めて顔を合わせる場といえば「面接」が一般的でした。カジュアル面談と面接は似ているようでいて、さまざまな点で明確に異なります(図表)。
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