初任給アップ時代の 賃金制度の再設計

賃金制度を見直すポイントは「誰に」「どう」配分するか 4つのステップで納得感のある仕組みに

株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 コンサルタント 宇井 賢
最終更新日:
2025年10月15日

前回は、初任給アップの波紋と賃金制度への影響について紹介しました。今回は賃金制度を見直すタイミングを解説していきます。

賃金制度を見直すタイミング

初任給の引き上げなどの影響によって制度全体の整合性が問われている今、場当たり的な対応ではなく、全体最適の視点で制度を見直すことが求められています。

また、「採用に苦労するようになった」「離職者が増えている」「不公平を感じている社員が増えている」といった兆候が見られる場合も、賃金制度の見直しを検討すべきタイミングです。

賃金制度を再設計する際の4つのステップ

賃金制度を再設計するにあたり、以下の4つのステップを押さえておく必要があります(図表)。

図表:賃金制度再設計のステップ

[ステップ1]
人件費の「制約条件」を把握する
売上高人件費率、労働分配率等を指標とし、会社として許容できる人件費総額を見極める
[ステップ2]
自社の賃金構造を把握する
年代別・等級別・役職別賃金分析により社内公平性および外部競争力を確認する
[ステップ3]
人件費を重点配分すべき層を明確にする
人材ポートフォリオの視点で自社の競争力を支える人材層を見極め、人件費原資を重点配分すべき層を明確にする
[ステップ4]
等級・評価・賃金制度を一体的に設計する
重点配分すべき層を意識しながら、等級・評価制度と連動した賃金制度を設計する

  • ステップ1:人件費の「制約条件」を把握する(=許容人件費の見極め)
  • ステップ2:自社の賃金構造を把握する(=誰にどれだけ賃金が支払われているか)
  • ステップ3:人件費を重点配分すべき層を明確にする(=誰に厚く報いるか)
  • ステップ4:等級・評価・賃金制度を一体的に設計する(=制度の「接続性」の構築)

人事制度は、毎年のように頻繁に改定できるものではありません。だからこそ、小手先の調整ではなく、自社の現状を丁寧に分析し、経営戦略と整合した人事戦略に基づいて賃金制度の方向性を見定めていくことが重要です。

ここから上記4ステップの具体的な実践方法を解説していきます。

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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プロフィール

株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 コンサルタント
宇井 賢

国内事業会社にて経営戦略・事業戦略立案に関する業務に従事。その後、外資系コンサルティングファームにて組織・業務変革コンサルティングに従事したのち現職。中小企業診断士としても、人事領域をはじめとした幅広いテーマでの支援実績を持つ。現在は、主に中堅・中小企業を対象とした人事制度構築・運用支援業務に従事。

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