コロナ後、従業員の期待は制度の整備より社員への共感? エンゲージメントに寄与する項目は
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リンクアンドモチベーション(東京都中央区)は5月24日、コロナ禍以降、従業員の人材への関心は低下傾向にあるとする調査結果を発表した。
コロナ禍を経て、会社への期待値は減少傾向、カギは「社員への共感」か
2020年1月~2023年12月に同社サービス「モチベーションクラウド」で従業員エンゲージメントサーベイを実施したのべ2810社の回答を分析した結果。人が組織に帰属する要因を64項目に分類し、期待値の平均を経年比較したところ、期待度が2020年の3.78から2023年の3.73と低下傾向にあることがわかった。
個別の項目で2020年と比べ、2023年のほうが期待が高まった上位項目は以下の通り。
- 部下のコンディション把握
- 業務環境の充実度
- 話題性や知名度
- 休日や就業時間
- 勤務地のロケーション
また、満足度が上がった項目は以下の通り。
- 研修制度の充実度
- 成功・失敗事例の共有
- 顧客基盤の安定性
- 財務状態の健全化
- ナレッジの汎用化・標準化
なお、期待度も満足度も低下した項目として、「多様な人材」「魅力的な人材」「変化し続ける意識」などが上位に挙げられる
同社ではこの結果を踏まえ、コロナ禍以降、リモートワークなどの働き方の変化が進んだことで、業務の仕組み化や会社に関する情報発信が進む一方、従業員は、時代に合わせて変化をしていこうという意識よりも安定を望む意識が高まっていると指摘する。
また同社では、これら64項目の期待度と満足度から従業員エンゲージメントの偏差値であるエンゲージメントスコア(ES)を算出。2020年~2023年のエンゲージメントスコアと満足度64項目の相関が高い項目は以下の通り。
- 戦略目標の納得感
- 顧客意見に基づく改善
- 継続的な改善活動
- メンバーの目標達成意欲
- 適切な採用・配置
逆に相関が低かった項目は以下の通り。
- 話題性や知名度
- 研修制度の充実度
- 財務状態の健全性
- 業界内での影響力
- 休日や就業時間
同社では、コロナ禍において企業が進めてきた経営の安定性向上や制度の整備は、従業員エンゲージメント向上への寄与は小さい結果となっているとコメントしている。
制度の充実も大事だが……従業員が求める「働きやすさ」が変化?
同調査の2015~2021年の満足度比較では、「研修制度の充実度」「多様な働き方」「休日や就業時間」が上位にランクインしていたが、今回の結果では、働きやすさの改善のエンゲージメントへの影響が比較的低位にとどまっている。今回の結果を受けて同社では、「従業員エンゲージメント向上のためには、顧客ニーズに応じた戦略の立案と従業員の共感を育むことが重要」とコメントしている。
同調査の詳細はこちらで確認できる。
また、同社「従業員エンゲージメントサーベイ」を用いた分析結果は、こちらでも紹介している。
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