「給与所得控除手厚い」、多様な働き方に対応する税制を 政府税調が答申 法人税にも言及
政府税制調査会(首相の諮問機関)は6月30日、中長期的な税制の在り方を示す中期答申を岸田 文雄首相に提出した。デジタル化の進展、働き方の多様化といった経済や社会構造の変化に対応した税制への見直しを求めた。政府税調の答申は4年ぶり。
多様化する働き方 政府税調「公平かつ中立な税制」を
答申では現在の社会経済情勢について「雇われない働き方の拡大といった働き方の多様化、ライフコースの多様化、共働き世帯の増加や世帯構成の変化、外国人労働者などの増加も加速している」と分析。その上で、税制について「経済社会の構造変化を見据えた見直しを進めることが求められる」とした。
働き方の多様化については、転職市場の拡大や非正規雇用、フリーランスの増加などを挙げ、中でも、近年、女性の社会進出や団塊の世代の高齢化に伴い「女性や高齢者が非正規の形で労働参加をすることで、非正規雇用の増大に拍車が掛かっている」との認識を示した。
こうした働き方の多様化に対応するため、答申では「公平かつ働き方に中立的な税制」の必要性を強調。サラリーマンなどの給与収入のうち3割程度が給与所得控除として差し引かれ、支払う税金が安くなっている現行制度については「相当手厚い仕組みだ」と指摘し、引き続き所得控除の在り方を検討する必要があるとした。
退職金の課税優遇の見直し 「労働市場の動向に応じて対応」
また、一つの会社に長く在籍することで課税が優遇される現在の退職金への税制を見直すよう、答申に盛り込んだ。現在の退職金に対する課税制度は退職金から控除額を引き、その2分の1に所得税と住民税が課税される。控除額は勤続20年までは1年毎に40万円なのに対し、勤続が20年を超えると70万円に拡大する仕組みだ。政府税調は「退職金の支給形態や労働市場の動向に応じて税制上も対応を検討する必要が生じている」と明記し、現在の仕組みの見直しを提言した。
膨張する歳出 「賄うための税収確保を」
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