定年再雇用で基本給半分以下、「不当」と判断した高裁判決を破棄 審理を差し戻し
月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2023年07月21日
最高裁第1小法廷は7月20日、名古屋自動車学校(愛知県名古屋市)の元職員2人が、定年退職後の再雇用の際に基本給を減額したのは不当だとして、定年前の賃金との差額を支払うように求めた訴訟の上告審判決で、同じ業務内容で定年時の6割を下回る基本給は不合理と判断した1、2審判決を破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。
最高裁では、その他の労働条件の相違と同様に、基本給の性質や支給の目的を踏まえて合理性を評価すべきだとの判断を示した。
原告の基本給、勤続年数1~5年未満を下回る
2人は自動車教習所の教習指導員として30年以上勤務。2013年と2014年に60歳で定年退職したあと、嘱託職員として5年間、同様の業務に従事した。再雇用後の業務や職務の内容は定年前と変わらなかったものの、定年退職時に月額約16万~18万円だった基本給は月額約7万~8万円になり、勤続年数1~5年未満の約11万円を下回った。訴訟では差額の支払いを求めていた。
なお、最高裁では、今回の訴訟で争われた、正職員と再雇用者との間での労働条件の相違が不合理かどうかについての結論は示さなかった。
正職員と再雇用者の基本給の差、不合理といえるか
1審の名古屋地裁判決(2020年10月)では「労働者の生活保障の観点からも看過しがたい水準」として、正職員時の基本給の6割を下回る部分について、労働契約法20条(当時、現パートタイム・有期雇用労働法)が禁じる不合理な待遇格差に当たると判断した。2022年3月の名古屋高裁判決も1審判決を支持した。
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