賃金に関する事項は、労働基準法による絶対的必要記載事項であるが、就業規則本則では規定をおかず、別規程とする場合が多い。
賃金規程には法定事項と賃金体系のみについて定めたものと、細かい部分についても定めたものがあるが、社内における賃金制度を理解する意味では細かく定める方が望ましい。また、職務内容や勤務実態を無視し、画一的に男女別賃金を設ける(例:男性は55歳で昇給停止、女性は50歳で昇給停止とする)ことは労働基準法違反となる。
具体的には以下の事項を定めなければならない。
基本給の決定要素、諸手当の支給要件を定める。
月額で定めるのか、日額で定めるのか。また、月額で定めても例外的に日割とする場合などを定める。
支払いは通貨で、直接本人に、その全額を支払うことが労働基準法で定められている。ただし、労働者の申し出または同意により本人の希望する銀行口座に振り込むことができる。また、所得税、社会保険料など法令で定めがあるものについては控除し、社宅費や社内預金などについては労使協定によれば控除でき、その控除後の全額を支払う。
締切日は原則として月に1回となるが、月額で定めたものと時間外割増賃金の締切日を別の日にすることは可能。また、支払いの時期は「一定期日」としなければならず、「毎月末日」とすることは可能だが、「毎月第4金曜日」とする定め方はできない。
昇給はその回数、昇給月、対象者(例:昇給月において勤続1年未満の者を除外する)について定める。また、会社の経営状況によっては昇給をしないことがある旨も明記しなければならない。
賞与も賃金規程に定める事項であるが、やはりその支給月、計算期間、対象者については明記しなければならない。特に支給対象者は、支給日に在籍する者であることを明記する。
(執筆:有限会社人事・労務 代表 矢萩 大輔)