社内規定管理:組織管理規程

最終更新日:2022年04月28日

組織を企業目的に適合させ、効率的に運営するにはその分担すべき職務、行使すべき権限を明確にすることで日常業務を円滑に遂行し、また、非日常的な業務が発生したときも迅速・的確に処理するためにも組織に関する規程が必要である。

比較的大きな規模の企業でなければ、作成しているケースはあまり見られないし、会社組織については成文化した規程がなければ管理・運営ができないわけではない。しかし、組織管理は会社の運営にとっては背骨に当たるようなものである。ルールも基準もなく運営していると、やがて経営意思が分散し、統一性を欠くものとなってしまう。企業規模が一定以上になったとき、あるいは支店、営業所の開設など組織が地理的に分散するようになったときなどには、できるだけ速く組織管理に関する規程類を定めるのが望ましい。

また、組織は会社の実態や時代に合わせて随時改変をすべきものであるが、急激な組織改変は従業員に混乱を招くこともある。それを防ぎ、常に組織を適切に運営するためにも組織管理規程類の整備は不可欠である。

組織規程

組織規程は組織の管理運営の基本であり、大綱となるべきもので、指揮命令系統を明らかにし、それぞれの業務分掌や責任体制を確立するものである。

その作成ポイントは以下の通り。

  1. 組織の構成:あくまでも会社の規模と人材の実態に合わせるもので、極端に課を細かく分けたり、逆に本来は分担すべき業務を一つの課にまとめるべきではない。
  2. 組織の関連:組織同士は指揮命令関係でつなげるべきだが、相互の関連性や協調も意識すべきである。
  3. 業務分掌:詳しくは別表として業務分掌表を作成するが、その業務に漏れがあったり、重複することのないように注意する。
  4. 職務権限:詳しくは別規程の職務権限規程によるが、権限の意味、委譲や代行について定義付けをしておく。

職務権限規程

職務権限規程は、課長や部長などの会社の主な職位についてその権限を定めたものである。それぞれの職位のなすべき職務と責任、権限の範囲を明らかにし、その責任体制の下で職務を積極的に遂行することを目的とする。

その作成ポイントは次の通りである。

  1. 用語の定義:規程で使われる用語についてわかりやすく説明し、理解の統一をはかる。
  2. 権限形態等の定義:「命令」「代行」「委任」など権限規程で使われる権限の意味について、明確に定義付けをする。
  3. 職務:職位ごとにその職務を記載する。その職位が統括する部署だけでなく、上位者、他の部署との関連した事項についても漏れがないか注意する。

*職務権限表の一形態として、購買権限表がある。

稟議規程

稟議とは業務遂行にあたって自分の権限を越える事項について、決定権のある人の承認をえることである。まだ組織が確定していない会社、あるいは小規模な会社では職務権限規程の代替としても意味づけられていることがある。

その作成ポイントは次の通りである。

  1. 事前稟議の原則:稟議は、あくまでもその事案処理の前に承認を得るのが大原則である。ただし、緊急を要する場合は口頭で承認を受けることもできるものとする。しかし、口頭承認が慣行となるようなことがあってはならない。実際に運用する際には注意が必要である。
  2. 稟議事項:稟議を必要とする事項については、あらかじめ定めておく。また、同時に発案部署も定めておくことが望ましい。
  3. 決裁権限:企業規模や予算、または稟議事項によっては社長ではなく担当役員や所属部門の長などを権限者としてもよい。

(監修者:社労士事務所ライフアンドワークス 社会保険労務士/介護福祉経営士 角村 俊一)

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