社内規定管理:就業規則(作成ポイント)

最終更新日:2010年03月08日

社内規定管理:目次

就業規則は、常用の従業員が10人以上になるとそれを作成、従業員に周知し、労働基準監督署へ届出することが義務となる。作成にあたっては従業員代表の意見を聞かなければならず、労働基準監督署への届出にはその意見書を添付しなければならない。

作成にあたっては絶対に記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、制度を設けるならば記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)、それ以外の事項(任意的記載事項)がある。

(1) 絶対的必要記載事項・・・始業、終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金、退職に関する事項など

(2) 相対的記載事項・・・退職手当、臨時の賃金、表彰および制裁、安全および衛生に関する事項など

(3) 任意的記載事項・・・例として服務規律などがあるが、それに違反したときに制裁の対象となるようなときは明文の規定が必要となる

●総則(雛型と説明と運用ポイント)

「総則」には、その就業規則全般にかかる原則的事項や共通する取扱基準などを定める。総則で何を定めるかは企業が任意に決定できる。

 この雛型では、主に以下のことについて記載してある。

(1) 目的・・・就業条件を定め、業務の円滑な運営、秩序維持を目的とすることを明記

(2) 定義・・・この規則における従業員の定義

(3) 適用範囲・・・この規則が適用される従業員の範囲(範囲の定めがないときは、当然にパート等にも適用される)

(4) 法令や労働協約との関係・・・定めがない事項は法令による。また、仮に労働協約や法令に反する定めをしてしまったときは、その定めは無効となり労働協約、法令の定めがそのまま適用される。

●採用

「採用」には、採用条件、入社手続き、試用期間などについて定める。

 採用条件については募集要項、選考基準などには企業側に採用の自由があるとされるが、運用には次のような注意が必要である。

(1) 募集・・・原則的に性差別(例:男性のみ募集)、出身地による差別、年齢の上限に制限を加えることなど

(2) 入社手続・・・戸籍謄本などの出身地が判明するものの提出を義務とすることなど。

(3) 試用期間・・・一般的には3ヵ月程度とする企業が大多数であり、延長しても通算して6ヵ月程度とするのがよい。

●服務規程

服務規律は職場秩序の維持・管理のために、原則的なルールや心得を定める。一般的には雛型にあるとおりであるが、その会社の業種や業態、また勤務実態などにあわせて適宜修正が必要である。

 作成にあたっては、以下の事項が盛り込まれているかチェックする。

(1) 職場の秩序や環境に関する事項・・・相互協調や誠実服務、職場内での政治活動やそれに準ずる活動の禁止、事前許可制

(2) 社員の地位・身分に関する事項・・・越権・専断行為の禁止、二重就業やアルバイトの禁止

(3) 企業情報や財産に関する事項・・・情報漏洩、会社の備品等の取扱い

(4) セクハラに関する事項・・・近年、セクハラによるトラブルが増加している。セクハラについては禁止するだけでなく、発生したときの対処についても定めておいた方がよい

(5) 勤務に関する事項・・・特に欠勤や遅刻・早退などの社内手続きについては、口頭ですませることなく文書での提出を義務づける

●異動

異動は広義には配置転換、職種転換、勤務地異動、役職の任免、出向をいい、その業務の必要に応じて会社の業務命令権が広く認められている。ただし、最近ではその権利の行使が濫用であるとしてトラブルになったり裁判で会社が敗訴している例もある。一般には企業にとっての必要性と、その異動によって生じる従業員の不利益の程度を比較勘案されるが、以下のような事例では特に注意する必要がある。

(1) 職種転換、勤務地異動・・・職種や勤務地を限定して採用した従業員に対して行う異動命令が、違法とされた例が多いのでその従業員の採用条件を事前に確認する必要がある

(2) 出向・・・一般には労働協約や就業規則に定めがあれば、業務命令として出向を命ずることができる。ただし、これはあくまでも在籍出向であり、移籍出向(転籍)には従業員の同意が必要である

●休職

休職とは、私傷病、出向などで長期にわたり労務提供が不可能となったとき一定期間労務提供を免除し、その期間中に事由が消滅したときに復職を、期間が満了したときに退職をさせる猶予期間である。その作成と運用の注意点は以下の通り。

(1) 休職発令・・・休職事由には私傷病、出向、組合専従となったとき、公職に就任したときなどがあげられる。ただし、その事由が生じたときに当然に休職とするのではなく、会社が認めたときに会社の業務命令として発令する扱いにする。

(2) 復職・・・私傷病休職については、実務の上では一番争いが生じる部分。医師の診断書の提出を義務付ける場合が多いが、医師まかせにせず、診断書を参考にあくまでも会社が判断すべき。

(3) 休職中の処遇・・・原則としては不支給であるが、出向の場合には出向先との出向契約、組合専従の場合は労働協約による場合もある。

●解雇・退職

退職および解雇は労働基準法に定める絶対的必要記載事項である。一般に退職とは会社と従業員との合意(従業員からの一方的意思表示の場合もあるが)による労働契約の解消、解雇とは会社の一方的な意思表示による労働契約の解消とされている。

退職規定の注意点は以下の通り。

(1) 自己都合退職・・・事前に文書で届け出ること、退職日までは通常の勤務に服することを定めておく。

(2) 定年・・・60歳を下回る定年年齢を設定することはできない。そして、平成18年4月の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正に基づき、65歳までの安定した雇用を確保するため、平成25年度まで段階的に、定年の引き上げや継続雇用制度の導入など3種類の高年齢者雇用確保措置の中から1つを選び、実施するよう事業主に義務づけられている。

[3つの高年齢者雇用確保措置]

・定年の引き上げ

・継続雇用制度の導入

・定年の定めの廃止

[高年齢者雇用確保の段階的引き上げ]

・平成19年4月-平成22年3月まで:63歳

・平成22年4月-平成25年3月まで:64歳

・平成25年4月:65歳

解雇については労働基準監督署で解雇予告除外認定を受けた場合を除き、

a. 30日以上前に予告するか

b. 30日分以上の解雇予告手当を支給して即時解雇するか

c. 解雇予告手当を支払った分だけ予告期間を短縮すること

が必要である。また、解雇事由についてはあらかじめ就業規則に定めておくことも必要である。

●勤務

勤務時間、休憩などは労働基準法に定める絶対的必要記載事項である。勤務についての規定作成の注意点は以下の通り。

(1) 始業・終業の時間・・・就業規則にはさらに始業と終業の時間を定める必要がある。ただし、業務の都合により柔軟に対応する余地を残すため、それぞれ「繰り上げ・繰り下げ」の規定も設ける。

(2) 休憩時間・・・休憩についても開始と終了の時間を定めなければならない。原則は一斉付与だが、労使協定により交代制とすることができる。

(3) 休日・・・休日は最低限1週につき1日、または起算日を定めた4週ごとに4日付与しなければならない。また、その日はできる限り指定しておきたい。

(4) 時間外・休日労働・・・時間外・休日に労働をさせるためには、労働基準監督署へ「時間外労働・休日労働に関する協定書」の提出とあわせて、就業規則に明文の規定が必要。

●休暇

休暇に関する規定は労働基準法に定める絶対的必要記載事項である。休暇については労働基準法等に定める「法定休暇」と会社が任意で定める「法定外休暇」(慶弔休暇)がある。法定休暇は以下の通り。

(1) 年次有給休暇・・・勤続年数による付与日数、休暇を行使するときの手続きについて定める。

(2) 産前産後の休業・・・産前休業については従業員からの申請により付与するが、産後については原則として申請の有無を問わずに休ませなければならない。ただし、産後6週間を経過したときは、本人の申し出により就業させてもよい場合がある。

(3) 生理休暇・・・生理日に就業困難な者には休暇を付与させなければならない。

(4) その他・・・休暇ではないが、妊産婦の母性保護、育児時間、公民権行使の時間については労働基準法により就業を免除するように定められている。

 ただし、年次有給休暇以外の休暇等については賃金を支払う義務はないので、賃金の有無については就業規則で定める必要がある。

●賃金

賃金、退職手当(退職金)は労働基準法に定める絶対的必要記載事項である。ただし、「賃金規程」「退職金規程」として別に定める場合が大多数である。→「賃金規程」「退職金規程」参照

●安全・衛生

安全衛生は、労働基準法に定める相対的必要記載事項である。その規定のほとんどは「労働安全衛生法」による。近年は労働災害、過労死・過労自殺をめぐってのトラブ2も多いが、それらを防止するためにも次のような定めが必要である。

(1) 安全衛生管理体制・・・一定の業種、人数により「総括安全衛生管理者」「安全管理者」「衛生管理者」などを設置し、事業場の巡回、災害時の処置などをするよう定められている。

(2) 就業に関する事項・・・安全、または衛生管理のための遵守事項を定める。

(3) 健康診断・・・定期健康診断は毎年1回、常用する従業員すべてに対して行わなければならない。

 安全衛生管理は製造業や建設業以外では軽視されがちであるが、衛生管理、特に健康診断については業種や人数の別なく実施されなければならない。

●災害補償

災害補償は、労働基準法に定める相対的必要記載事項である。従業員が業務上の事由により災害にあったときは、会社は労働基準法による補償を義務付けられている。ただし、労働者災害補償保険法による給付が受けられるときは、会社が独自で補償をする必要はない。労働基準法に定めがある災害補償の種類は、次の通りである。

(1) 療養補償

(2) 休業補償(休業開始後3日間は労災保険からの給付がされないので、会社が補償する必要がある)

(3) 傷害補償

(4) 遺族補償

(5) 葬祭料

(6) 打切補償(療養開始後3年間を経過したとき傷病補償年金を受けているとき、または3年経過後に傷病補償年金を受けるようになったときは、打切り補償を行ったものとされる)

●教育

教育(職業訓練)は、労働基準法に定める相対的必要記載事項である。教育とは、現在および将来の業務の遂行に必要な能力を付与するために行うもので、業務遂行に関する知識、技術、技能だけでなく、社会人としての心がまえや一般教養等も含まれる。

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