役員規程は、役員の選任、退任、その職務や勤務条件等、また、退職時の処遇等役員自身に関する事項について定めたものである。
取締役会規程は、商法で定められた取締役会の運営について定めたものである。取締役会は、業務執行の方針、意思を決定する「業務執行の意思決定機関」という側面と、取締役の職務執行を監督する「業務執行に関する監視機関」という側面を持つ。法律では、取締役会において決議しなければならない事項を定めており、代表的なものについて以下のようなものがある。また、取締役会の決議事項は原則として全取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数をもって決定しなければならない。
重要な財産の処分および譲り受け
多額の借財
支配人その他の重要な使用人の選任および解任
支店その他重要な組織の設置、変更および廃止
社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
内部統制システムの構築に関する決定
定款の定めに基づく取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人の会社に対する責任の免除の決定
監査役会規程の作成および運用のポイントは以下の通り。
本規程の目的:監査役会を円滑に運営すること
主たる対象者:監査役。監査役会の議事録保管担当部署
作成の注意点:監査役に関する商法の規定との整合性を取ること
監査役監査基準の作成および運用のポイントは以下の通り。
主たる対象者:監査役および調査対象となる取締役
特に重要な項目:監査役の監査項目。重要会議への出席や文書等の閲覧を権限として規定していること
作成の注意点:監査役に関する商法の規定との整合性を取ること
役員規程は、役員の選任、退・解任、処遇や勤務条件等役員自身に関する事項を定めたものである。役員は、会社の経営についていわばかじ取り役であり、その選任については慎重を喫しなければならず、そのための要件を明確にし、また、その職務執行に対する規律も厳にしなければならない。
なお、役員のうち取締役及び監査役は、商法によりその任期が決まっており、これに反する規定は無効となり法定の期間となる。このように役員に関する規定については、商法に関係しているため注意が必要である。
役員退職慰労金規程は、退任する役員に対し、その在任中の功労に報いるために支給する慰労金の額および算定方法などについて定めたものである。
役員の報酬などについては、従業員と異なりその職務や待遇について不透明な部分が多い。従業員の退職金と同様、その算定方法などを明確化し、支給手続きを明文化することにより透明性をはかることが必要である。
(監修者:本山社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 本山 恭子)