従業員をサーベイ疲れにさせない 正しいエンゲージメントサーベイの選び方

従業員満足度調査とどう違う? エンゲージメントサーベイ導入前に押さえておくべき3つのこと

株式会社リーディングマーク 専門役員 組織心理研究所所長 佐藤 映
最終更新日:
2025年07月09日

昨今、「エンゲージメントサーベイ」という言葉を目にする機会も増えてきました。人的資本経営の文脈で、人事制度の整備や従業員満足度の可視化、人材不足を補う一人ひとりの生産性向上が求められる中で、サーベイを導入する企業も増加傾向にあります。しかしその一方で、エンゲージメントサーベイのほか、「ウェルビーイングサーベイ」「パルスサーベイ」「組織サーベイ」「ストレスチェック」など、さまざまな名称のツールが乱立し、それぞれが何を測り、どのように使い分けるものなのか、自社に合ったサーベイツールは何なのか、またその結果をどう生かせばいいのかわからないという問題も生じています。
そこで本企画では、エンゲージメントサーベイの種類から、自社に合う選び方、導入から運用までのステップ、結果の生かし方などについて4回に分けて紹介。初回となる今回は、そうした混乱を整理するために、サーベイの種類や特徴、活用目的や形式の違い、そして導入する際に押さえておくべきポイントについて解説します。特に、年に1、2回行う組織全体を対象とした匿名のサーベイと、月次などより短いスパンで行う記名式のパルスサーベイとの違いに注目しながら、自社にとって適切な活用法を考えるヒントをお届けします。

エンゲージメントサーベイとは何か? 従業員満足度調査との違いは?

「従業員満足度調査」と「エンゲージメントサーベイ」は似て非なるものです。前者は、職場環境や待遇、福利厚生などの「満足度」を測ることを目的とした調査である一方、後者は、従業員がどれほど組織に貢献したいと感じているか、どれほど主体的に働いているかという「意欲」や「貢献意識」に焦点を当てた調査です。

たとえば、満足度は高くても、与えられた仕事だけを淡々とこなしている従業員は多く存在します。逆に、不満はありながらも会社の将来に期待し、自ら改善を試みている従業員もいるでしょう。エンゲージメントサーベイは、そうした従業員の「心のつながり」を可視化し、組織への愛着や貢献意欲を明らかにします。

また、サーベイや調査の違いは、「名称」で決まるものではなく、その目的や形式によって変わってきます。同じような形式や目的のものを、差別化するために「組織サーベイ」と呼ぶこともあれば、「従業員サーベイ」と呼んでいる場合もあるなど、名称で違いが明確になるわけではありません。そのため、名称だけで理解しようとするのではなく、そのサーベイが「どんな内容を測定するものか(目的)」と、「どんなふうに使うものか(形式)」を把握し、自社のやりたいことに合うものを探す必要があります。

サーベイの分類と選択すべきポイント

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プロフィール

株式会社リーディングマーク 専門役員 組織心理研究所所長
佐藤 映

京都大学教育学部を卒業後、京都大学大学院教育学研究科修士課程で心理臨床学を修める。その後、同大学院博士後期課程、京都文教大学臨床心理学部(特任講師)を経て、2020年に株式会社リーディングマークに参画。心理臨床学の専門性を生かし、「ミキワメ 適性検査」「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」の測定ロジックやアウトプットの開発を監修。100回以上の単独セミナー講師経験や、150社以上の企業の組織分析とHRTechの活用支援を通して、人と組織のケアと成長を支援。2025年より専門役員に就任。臨床心理士・公認心理師。

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