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こんにちは。海外与信管理クラウドサービス「CONOCER(コノサー)」を運営しております、三井物産クレジットコンサルティングの飯田と申します。
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「与信管理」とは何か?
前回、与信管理(リスク管理)を行うことは、「良い会社」を作る第一歩だというお話をしました。そこで、まず「与信管理」とは何かについて説明いたします。
ここでの「与信」とは文字通り、相手に「信用を与えること」です。
例えば、企業間の取引において、取引先に商品を引き渡し、後日代金の支払いを受ける場合、あなたの会社は取引先に「信用を与えている(=代金回収のリスクを自社が負担している)」ことになります。 与信管理とは、取引先に信用を与えることができるか(リスクを自社で負担できるか)を様々な角度から検討し、自社のリスクをミニマイズ(最小化)するための対応策を取ることと言えます。もっと平たく言えば、「取引して大丈夫な先かを見極める」ということです。 ちなみに、なぜ自社がリスクを負担してまで取引を行うかというと、いくつかの理由が考えられますが、代表的なものは下記の通りです。
- 企業間取引における商習慣によるもの
- 取引先の要望によるもの(取引先とのパワーバランス)
- 決済業務の効率化要請によるもの(締日と決済日の集約など)
- 商材の特性(納品後に検収が必要な取引の場合など)
- 競合企業対応のため
例えば、自社が扱う商材が汎用品の場合、価格以外での差別化が難しいため、支払いを他社よりも長期間猶予することで、取引を成立させようと営業活動を行うことが考えられます。 このような取引は、特に国内取引では一般的ですが、そもそも「なぜ信用を与えること」ができるのか、その与信根拠を明確にしておくことは、リスクの未然防止のためにとても重要なポイントです。
取引上のどのようなリスクを負担しているのか?
もう一つ大事なポイントは、自社が行おうとしている取引のどこに、どのようなリスクがあるのかを検討・把握しておくことです。
例えば、海外取引でよく利用される信用状(L/C)は、実質的に代金回収を銀行が保証してくれる決済手段です。つまり、取引先に代えて、銀行の信用状態が重要と言えます。
また、サプライヤーとバイヤー間に介在する取引の場合、サプライヤーに対して支払債務を負うことはもちろん、仮にサプライヤーが原材料を供給できない場合でも、バイヤーに対する自社の供給責任は免れることができず、双方にリスクを負っています。 どのようなリスクをどちらが負担するかは、よく係争となるポイントです。
きちんと基本契約書を締結し、関係者の役割期待や、リスク負担について合意しておくことが基本動作として求められます。
意外と、「スポット取引だから......」「これまでトラブルが起きていないから......」などの理由で基本契約書無しで取引を行っているケースが散見されます。不測の事態の発生時、契約書がリスクマネジメントの"基点"となることをしっかりと認識することが必要です。
与信債権管理は、経営の要(かなめ)
どのようなビジネスであっても、「価値を創造し、顧客に価値を提供し、対価を受け取り、その対価を元手に新たな価値を創造する」ことは、普遍の法則です。
取引先に商品を引き渡した後、代金債権を確実に回収するための管理を組織として実践することは、まさに経営の要の一つと言えるでしょう。
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