下請法の改正で生まれ変わる「中小受託取引適正化法」の対応実務

自社と取引先が規制対象かを判断する方法は? 下請法改正に伴う6つの実務対応のポイント(前編)

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 赤羽 寿海
最終更新日:
2025年11月18日

前回は、2026年1月1日施行の改正(以下、本改正)により、「下請代金支払遅延等防止法」(以下、下請法)から生まれ変わる「中小受託取引適正化法」(以下、取適法)の位置付けや規制の内容について解説しました。今回と次回の2回に分けて、委託事業者において必要となる主な実務対応のポイントを6つ紹介します。まずは「適用対象取引の範囲拡大」と「従業員基準の追加」から見ていきましょう。

ポイント1:適用対象取引の範囲拡大

改正前においては、製品・半製品等の製造委託に加えて、それらの製造のための金型の製造委託についても製造委託として下請法の適用対象とされていましたが、本改正により、金型に限らず、木型その他の物品成形用の型一般の製造の委託が取適法の適用対象となる製造委託に加わったほか、工作物保持具(治具)その他の特殊な工具(汎用性のない工具であって、目的物たる物品等の製造専用のもののこと)の製造も製造委託に追加されました。

また、本改正において、特定運送委託というカテゴリーが新たに制定され、販売等の目的物の引き渡しに関して荷主が運送を委託する取引は、取適法の適用対象となる取引類型に含まれることとなりました。

そこで、物の製造の委託を行っている事業者は、その取引内容をあらためて精査し、物品成形用の型や特殊工具の製造の委託を行っていないか確認し、新たに取適法の適用対象となる取引がないかのチェックが必要になります。

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プロフィール

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
赤羽 寿海

東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。2017年弁護士登録。堂島法律事務所東京事務所所属。大手法律事務所での執務経験を生かし、証券化を含む不動産取引法務、ファイナンス取引法務、M&A法務、再エネ法務を柱としつつ、トランザクション案件から紛争解決まで、スタートアップ企業を含むさまざまな規模・ステージの企業に多様な法的サービスを提供している。

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