総務のマニュアル下請法の改正で生まれ変わる「中小受託取引適正化法」の対応実務

2026年1月の大改正で「下請法」から「取適法」へと刷新。適用範囲や規制内容はどう変わる?

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 赤羽 寿海
最終更新日:
2025年11月11日
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下請代金支払遅延等防止法」(以下、下請法)は、2026年1月1日施行の改正(以下、本改正)により、「中小受託取引適正化法」(以下、取適法)に生まれ変わります。本改正により、取適法(下請法)の適用範囲やその規制内容に重要な変更が生じるため、委託事業者(親事業者)、中小受託事業者(下請事業者)の双方において、本改正に備えた準備・対応が必要となります。そこで、本企画では、本改正後の取適法の全体像を概説した上で、本改正の主要なポイントと実務対応上の留意点を解説します。初回となる今回は取適法の位置付けや規制対象、規制内容などについて見ていきましょう。

1. 取適法とはどんな法律なのか?

取適法は、独占禁止法(以下、独禁法)が禁止する不公正な取引方法(独禁法第2条第9項)の一つである優越的地位の濫用(独禁法第2条第9項第5号)の規制を補完する法律です。独禁法上の優越的地位の濫用の規制を適用するためには、行為者(委託事業者)が優越的地位にあるかといった点、被行為者(中小受託事業者)に不当な不利益が生じたかといった点について、具体的な事情を総合考慮して個別に認定していく必要があるため、そのような個別の認定とそれに基づく独禁法の適用には相応の時間を要するという問題があります。

そこで取適法は、委託事業者が優越的地位にあるかといった点を、資本金基準や従業員基準を用いて形式的に判断するとともに、具体的な違反行為の類型を規定することによって、それらに該当する行為は濫用行為に当たるものと整理することにより、中小受託事業者の迅速な救済をはかることとしています。

2. 取適法が適用される取引類型と事業者規模

取適法の規制対象は、(1)当事者間で行われる取引の内容と、(2)各当事者の事業者規模によって画されており、(1)が取適法の対象として定められる取引類型に含まれ、かつ、(2)の各当事者の事業者規模が取適法の定める基準(これには、「資本金」に着目したものと、「従業員数」に着目したものとがあります)を満たした場合に限って、取適法が適用されることになります。

(ア)取引類型

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プロフィール

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弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
赤羽 寿海

東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。2017年弁護士登録。堂島法律事務所東京事務所所属。大手法律事務所での執務経験を生かし、証券化を含む不動産取引法務、ファイナンス取引法務、M&A法務、再エネ法務を柱としつつ、トランザクション案件から紛争解決まで、スタートアップ企業を含むさまざまな規模・ステージの企業に多様な法的サービスを提供している。

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