企業による農山漁村支援を国が「見える化」 農林水産省、「取組証明書」制度を創設

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2025年10月28日
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農林水産省は10月24日、企業などが農山漁村において金銭的・技術的・人的なリソースを活用し、地域課題の解決に資する取り組みを実施した場合に、同省が証明書を発行する新たな制度を開始すると発表した。

発行される「取組証明書」は、企業が自社ウェブサイトやIR資料などを通じて地域貢献活動を対外的に示す広報手段として活用できる。

この制度は、農山漁村における人口減少や高齢化、多面的機能の喪失といった構造的課題に対応する取り組みを加速させようとするものだ。農林水産省は、こうした課題は農村部にとどまらず、都市部を含めた社会全体にとってのリスク要因であるとの認識を示しており、企業の参画を促す施策として制度を位置付けている。

制度創設の背景にある農山漁村の課題

農山漁村は、わが国の食料供給の基盤であると同時に、地域社会の維持や自然環境の保全など、社会全体にとって多様な価値を提供してきた。しかし現在、急速な人口減少や高齢化の進行により、集落機能や土地の管理体制が脆弱ぜいじゃく化している。

農林水産省の調査によれば、山間地域において総戸数が9戸以下の集落の割合は、2000年から2020年の20年間で2.3倍に増加している。こうした状況が進めば、農地の荒廃、水資源管理の不全、災害リスクの増大といった影響が生じ、地域にとどまらず都市部を含めた広域的なリスクにつながるおそれがある。

多面的機能とは何か

農山漁村には、農業生産に加え、防災、環境保全、景観の維持など、複数の機能が複合的に存在している。これらは「多面的機能」と総称され、地域社会の安全や持続可能性に深くかかわる要素とされている。

たとえば、水田が雨水を一時的に貯留することで洪水被害を軽減する働きや、農地の蒸散作用による暑熱緩和、大気の浄化、水源の涵養かんよう、日本的な原風景としての景観形成などが挙げられる。こうした機能は、農地の耕作や土地の手入れといった日常的な営みによって維持されており、担い手の減少により機能の喪失が懸念されている。

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