「従業員退職型」倒産が急増、年間100件超の見通し 賃上げできない企業の淘汰が進行か

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2025年08月07日

従業員の退職を要因とする「従業員退職型」倒産が急増している。帝国データバンク(東京都港区)が8月6日に発表した調査結果によると、2025年1~7月時点で74件が判明し、過去最多だった2024年(90件)を上回るペースだ。年間100件に達する見通しとなった。

背景には、慢性的な人手不足に加え、賃上げや待遇改善が困難な中小企業が、人材流出を防げず事業継続が困難になるケースがあるとされる。人手不足倒産全体も高水準で推移しており、構造的な課題として企業の淘汰とうたが広がる可能性がある。

「従業員退職型」倒産の増加とその背景

2025年1~7月に発生した人手不足倒産251件のうち、従業員や経営幹部の退職が直接的・間接的な要因となった「従業員退職型」は74件に上った。前年同期(46件)から約6割増と急増しており、過去最多だった2024年(90件)を上回るペースで推移している。

従業員退職型倒産の年間件数推移(2013年〜2025年予測)

業種別では「サービス業他」が19件(構成比25.7%)で最多となった。中でもソフトウエア開発や映像制作といった分野では、慢性的な人材不足の影響が顕著だ。2013年以降、1~7月期としてはサービス業の件数が最多となっている。

退職が倒産の引き金となった事例 「賃上げ難倒産」が発生した企業も

以下は、調査で挙げられた主な倒産事例である。

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