コラム

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「財務報告に係る内部統制(J-SOX)の簡素化」について

2011年06月14日

今回よりコラムを担当します西村と申します。私は、「監査」「経理」という経験を通じまして、総務・人事のご担当者に役立つ会計情報等をご提供して参ります。初回は、本年4月1日より改訂になっておりますJ-SOXについてお話したいと思います。
 
本年4月1日より、「財務報告に係る内部統制(J-SOX)」についての簡素化が適用になっています。適用対象は、上場企業及びその関係会社です。
社会的影響の大きい上場企業にて、内部統制評価が簡素化されたということは、他の企業におきましても、内部統制を構築するうえで参考になると思います。

今回の改訂の背景には、中堅・中小上場企業などからの改訂の要望があります。そもそも、中堅・中小企業は人数が限られているため、内部統制のルールである「職務権限」「職務分掌」などにより「けん制」をかけることが一般的に弱くなるものの、実態に即した内部統制を構築しており、それを尊重しようというものです。


【1】主要な改訂点とその考え方
(1)企業の創意工夫を活かした監査人の対応

内部統制をどのように整備し、運用するかは、企業ごとに異なるものであり、一律に示すことは適切ではありません。経営者が、自ら適切に創意工夫を行い、内部統制を構築することが期待されます。

そのため、明文である、「(J-SOX)実施基準」を持って、外部監査人は経営者に対し、画一的に手続きを強制することのないよう留意することになりました。

また、改訂前は、外部監査人が、画一的な内部統制を構築出来ない中堅・中小企業等から内部統制の構築の相談を受けた場合、監査の独立性に反することもあり、応じていないこともありましたが、今回の改訂により、監査の指導的機能を発揮して応対できることになりました。


(2)内部統制の効率的な運用手法を確立するための見直し

J-SOXでは、自社の内部統制(職務権限や経理マニュアルなど)を整備し、評価(25件のサンプリングテストを実施など)しますが、内部統制が有効に働いて、リスクが低いにもかかわらず、その有効性評価を毎年実施していたのでは、非効率です。

そこで、今回、改訂により、前年度の評価結果が有効であり、かつ、前年度の整備状況に重要な変更がない等の一定の条件を満たせば、前年度の評価結果をそのまま使用して良いことになりました。つまり、数年(2?3年)に1度、サンプリングテストを行えば良いことになります。


(3)中堅・中小上場企業に対する簡素化・明確化

事業規模が小規模で、比較的簡素な構造の組織などが内部統制評価を行う際、通期あるいは組織の各階層(例えば、部長、担当レベルなど)において必ず評価が求められるものではないことが、今回の改訂によって明確になりました。このような企業は、組織上の階層が明確でない場合が多いことを考慮したものです。

さらに、内部統制を評価するにあたって、組織が自ら「業務マニュアル」といった定型文書や「業務記述書」「フローチャート」など等を準備するのは、かなり負担です。そのため、「社内メモ」や「業務引継書」といった既存のものを使用して、内部統制評価できるものとしました。
今回の改正にあたって、金融庁は当該企業向けの内部統制事例集を公表しました。

【2】適用時期等
「財務報告に係る内部統制(J-SOX)の簡素化」は、平成23年4月1日以降開始する事業年度より、適用となります。
すなわち、3月決算会社から順に適用されます。改訂基準等は、下記ご参照下さい。

<参照>
金融庁HP 平成23年3月30日ないしは31日リリース
・「内部統制報告制度に関する事例集 〜中堅・中小上場企業等における効率的な内部統制報告実務に向けて〜」金融庁総務企画局
・「内部統制報告制度に関するQ&A(平成23年3月31日改訂) 」金融庁総務企画局
・「財務報告に係る内部統制の評価及び監査基準」「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」改訂 企業会計審議会
・「財務報告に係る内部統制の評価及び監査基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」企業会計審議会

西村 光子
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