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情報セキュリティ散策 第12回:ワールドカップメンバー決定

2014年06月23日

 ブラジルでワールドカップが行われている。内外を問わず、関連するいろいろなニュースが飛び交って、騒がしくも楽しい。しばらくは日常とは異なる陶酔の訪れる幸せなる日々であるので、セキュリティに悪さをする人たちもワールドカップの間くらいはしばし休んでくれればいいのだが、ご存じのとおり、こういうときを好き好んで悪さをしたがる人たちもいる。まったく言語道断である。

 ワールドカップの日本代表メンバーについては、既にいろいろなところで一通りの議論が済んでいると思うので、今更中身には触れないが、ここで考えたいのは選手の選考基準である。ザッケローニ監督の弁では、複数のポジションをこなせる選手を優先したとなっている。所謂(いわゆる)ポリバレントである。

 例えば、サプライズ選出と言われた大久保選手は、フォワードと右サイドの攻撃的中盤をこなせる。ワールドカップは出場登録メンバー数が限定されているから、複数のポジションをこなせる選手は重要だろう。大久保選手はただこなせるだけでなく、フォワードとして点を取る能力、攻撃的中盤でスペースを作りだす能力とそれぞれのコアな能力に優れているのだから言うことはない。年齢によるスタミナの問題が気になるところだが、実際には非常にバイタリティがあるそうだし、代表の鍵になる選手だろう。

 さて、セキュリティに話題を戻す。厳しい経営環境の影響で人数が限定されることでは、我らがセキュリティ担当もご多分に漏れないだろう。精力的に悪さをする人たちのおかげで、考えなければならない対策には相当な量と種類がある。よって、セキュリティ担当者にもポリバレントは重要だと思われる。

 セキュリティ対策というのは、実は結構多様な専門性を求められるもので、例えば、人的資産のセキュリティ、物理的セキュリティ、技術的セキュリティ等では、それぞれ対策を検討・実施するために必要な専門性が大きく異なる。単純に適性だけ見たとしても、入退室管理のような堅く実直に守る役割や、インシデント対応のような技術と反射神経を求められるような役割が含まれている。これを双方こなすのは非常に厳しい。サッカーでもゴールキーパーとフォワードをこなす人はあまり見かけない。(世界に数名はいるようだが)このような状況で、セキュリティにおけるポリバレントはどうやって実現したらいいのだろう。

 ポリバレントは、元サッカー日本代表監督のオシム氏が使い始めた言葉だそうである。もとは化学用語の多価を表す言葉とのこと。スポーツ界では、一様にユーティリティプレイヤーという意味で使われているが、もともと多価とは、元素の原子価、すなわち他の原子と化学結合をいくつ作り得るかという数値が大きいということで、要は他のいろいろな対象と連携を作れる能力があるということを指している。言葉の意味だけなら何も自分がすべてをこなせなくてもよく、それぞれの専門性を持ったグループや組織とスムーズに連携できればいいのである。

 つまり、自分が大久保になれなくても、本田や香川、岡崎と有効なパス交換をできればいいのだ。考えただけでもわくわくするので、それも結構難しいことはさておき、まずは良い連携を作ることを楽しもうではないか。パス交換をしているうちに楽しさが浸透してポリバレントな人材が育ってくれば、これ幸いである。

 ワールドカップを見ていても現実はそう甘くないので、ポリバレントな人材育成については短期にはうまく結果は出ないかもしれないが、ある意味で多種多様大量な対策や課題を抱え込んで身動きがとれなくなっているよりは、連携を磨くアプローチで広範囲のチームワークが形成されることが、中長期的にはセキュリティ対策全般に良い影響を及ぼすはずだと思う次第である。

早乙女 真
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