コラム

人事 / 労務管理 / 介護離職防止

仕事と介護は両立できる【第2回】介護離職は誰のためにもならない

2018年06月21日

 前回は、「なぜ、自分だけで介護を抱え込むと失敗するのか?」というテーマに対し、「自分で全部やらなきゃ」という思い込みを捨て、周囲に頼り、ときには介護を人に任せることの大切さをお伝えしました。  今回は、私が「介護のために仕事を辞めてはいけない」といい続ける理由である、介護を取り巻く現実をお伝えいたします。

■介護のための転職によって給料が下がってしまう

 現在、介護離職をする人は年間約10万人といわれています。そして、転職前と転職後の平均年収について次のようなデータがあります。

kyuryohyo.jpg

※ダイヤ高齢社会研究財団「仕事と介護の両立と介護離職に関する調査報告書」(2015年3 月)

 男性は給料が4割ダウン、女性にいたってはほぼ半減しているのです。このことから、介護との両立をはかるために、転職によって仕事の負担を減らそうとすると、大きく給料が下がってしまうことがわかるでしょう。

■男性による介護の難しさ

 最近では、男性が親や奥さんの介護をするケースも増えてきました。育児に積極的にかかわる「イクメン」ならぬ「ケアメン」の登場です。しかし、男性介護者が増える中、立命館大学 教授の津止正敏(つどめまさとし)さんは、男性介護者には以下の3つの特徴があると指摘しています。

(1)家事スキルが低い
(2)地域コミュニティーとのつながりが希薄
(3)目標を設定し、成果を追求しがち

 こういった特徴から、介護がうまくいかず、追い込まれた男性介護者が被介護者に手をあげてしまうケースも少なくないのです。

■介護者のストレスは虐待につながる

 在宅介護を行うことが多い日本ですが、実際、在宅で介護をしている人たちは、どんなことを考えているのでしょうか。

・精神的・肉体的に限界を感じたことがある:73%
・介護中に被介護者に対して暴力をふるった経験がある:22%

※毎日新聞「在宅介護『限界』7割 家族の負担浮き彫り」毎日新聞調査、2016年4月4日より

 また虐待要因として、次の要因が挙げられています。

・虐待者の介護疲れ・ストレス:25%
・虐待者の障害・疾病:23.1%
・被虐待者の認知症の症状:16.1%
・家庭における経済的困窮(経済的な問題):14.4%

※厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」(2016 年度)より

 お金や精神的なゆとりがなくなったときに、介護のストレスがたまって手を上げてしまうのです。だからこそ私は、仕事を辞めない介護、一人で抱え込まない介護を推奨しているのです。

川内 潤
​​MENU