身近な著作権法:インターネットにおける著作権知識の重要性について

最終更新日:2010年03月06日

身近な著作権法:目次

現在、全国の自治体や公的機関において、インターネット利用の普及を目指して様々な取り組みがなされています。インターネットは短期間に目覚しい発展を遂げていますが、気をつけなければならないのは著作権の問題です。これまで著作権という権利は、市民生活からは遠く離れた存在でした。なぜなら、著作権問題を意識しなければならない人は、音楽業界、出版業界、放送業界、印刷業界など特定の分野に限られていたからです。しかしインターネットの普及により、このような状況が一変してしまいました。インターネットを利用すれば、一個人が簡単に自分の思想や感情(著作物)を発信することができます。そして、簡単に誰かの著作物をコピーすることができます(データをダウンロードすること自体が著作権法上の複製行為にあたるのです)。つまり、たかが一個人であっても、著作権は侵害されうるし、また容易に侵害しうるのです。インターネットの世界では、情報を発信できるということにおいては、政府も企業も個人も、子供でさえも、与えられた機会は平等なのです。つまり、子供であっても、テレビ局や新聞社などと同様に著作権について責任を問われることになるのです(もし子供が保護されるならば、子供にインターネットを使用させることはできません)。インターネットは非常に便利ではありますが、利用に際して負うべき責任も重大です。安易に、利用の普及だけを促進させることは、社会にとって非常に危険なことです。ですから、インターネットを利用するにあたって最低限知っておくべき法律知識やマナーというものを身に付けさせなければ、適正なパソコン研修とは言いがたいと考えられます。このようなことを政府をはじめ責任ある機関のほとんどが見逃しています。これはただ単に著作権についての見識が乏しいことによるものと思いますが、現実にインターネットによるトラブルは激増しているのです。また、著作権だけでなく、プライバシーや人権に関わる問題も同様に重要です。以下にトラブルの事例を記載しましたが、ここではインターネットにかかわるもののみを取り上げました。インターネット以外でも、パソコン機能の向上により、身近なトラブルは増えてきており、著作権分野全体としてのトラブルの多さは膨大です。著作権が今後身近になって行く中で、学校や自治体などが著作権についてより深い認識をもっていただく必要性を切に感じております。

(1) 権利を侵害されるケース

●自分のホームページで掲載した文章を盗用された、または不当に引用された。 

●子育てママの掲示板の子育てノウハウ情報を、そっくりそのまま勝手に出版された。 

●自分のプライベートの写真が勝手にホームページで公開されていた。 

●ホームページの画像や素材が、知らないうちに他のホームページで使われていた。 

●または、CDとして販売されていた。

(2) 権利を侵害してしまうケース

●有名な写真家に撮影してもらった、自分が写っている写真をホームページに掲載した。 

●有名な楽曲をMIDI(電子ピアノ)音楽に作り変えてホームページのBGMにした。 

●買った人気画家の絵をスキャナーでデジタル画像にし、ホームページに出した。 

●自分が見た映画のあらすじと批評をホームページにのせた。 

●あるホームページに業界についての情報があったので、印刷して会社で配った。 

●住宅地図をスキャナーで取り込んで、会社ホームページの営業所案内図に利用した。 

●子供が書いたミッキーマウスの絵を我が家のホームページに載せた。 

●ある音楽バンドのファンクラブのホームページで、CDのジャケットを掲載した。 

●替え歌を作って、音符と歌詞をホームページに掲載した。 

●有名曲を自分で着メロ用に作りかえて、メロディをホームページに掲載した。 

●コンサートで撮影した芸能人の写真をホームページに掲載した。

(3)権利侵害にならないケース

●小説「我輩は猫である」のそっくりそのままをホームページで有料配信した。 

●レオナルド・ダ・ヴィンチの作品をデジタル画像にしてホームページで公開した。 

●モーツァルト作曲のメロディでMIDIファイルを作りホームページのBGMにした。 

●町のいろいろな看板を写真に撮り、ホームページで掲載した。 

●自分で描いた絵を公開したが、有名な画家の作品とたまたまそっくりだった。

(4)特に難しいケース

●著作権フリーのホームページで手に入れた素材を利用したら、無断利用で警告を受けた。(著作権フリーのホームページがにせものだった) 

●友達にホームページを作ってもらったのだが、その友達は私以外の者にも同様のホームページを作っていた。(誰が真実の著作権者なのか) 

●著作者から利用の許諾を得ようとしたが、その著作者は既に亡くなっていた。(権利は誰に引き継がれたのか)

(執筆:のぞみ合同事務所 行政書士日野孝次朗)

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