施設・機器管理:電源設備管理

最終更新日:2010年03月01日

電気に関する業務は、移転やレイアウト変更をする際に発生してくる。その場合、電気に関する問題で一番重要な事は、電気を使用する機器について、どの部屋のどこに何を設置するのかということである。レイアウト図面をもとに部屋毎に機器の種類、設置台数及び電気容量を一覧表にして全て確認していくことが必要である。新築の場合は、そのような確認をもとに電源回路を予備回路も含めて、建物の電気容量を考慮しつつ設定し、コンセントの数と位置を決定していく。既存の建物の場合は、レイアウト図面作成時に少なくとも電源回路図面は入手し、電源図面を作成できるよう準備しておくことが必要である。電源のポイントは、簡単な足し算であり、その考え方が理解できれば問題ない。その他に、電源工事の注意点や節電に関するポイントがあり、十分に確認しておくこと。

●考え方

通常、1電源回路(1ブレーカーに対し1回路)の容量は100Vの15A。その回路から分岐した数個のコンセントが各部屋に敷設されている。一回路から分岐しているコンセントで使用できる機器は、全部で15A、1500Wまで。それ以上の機器を同一回路で使用した場合は、ブレーカーが落ちる。どこに何Aの機器を何台設置するかを確認する必要がここにある。よって、使用機器の電気使用量の確認が是非とも必要。その確認をもとに、機器別の電気使用量の一覧表を作成する。その中で10A以上使用する機器については、単独で一つの回路をあてがう必要がある。要は単純な足し算で、1回路で使用する機器を15A以内に抑えれば良い。10A以上の機器は、コピーやレーザープリンター、ホスト端末、シュレッダー、パウチをする機器、乾燥機、湯沸し器、電子レンジ、炊飯器、業務用掃除機、コーヒーサーバー、自動販売機等がある。

●予備回路

ブレーカーのついた分電盤の中に予備回路が存在する。問題は、予備として残すか、コンセントとして敷設するか、どこまで将来の拡張や電気機器の増設を読み込むかということである。端末の場合、近い将来一人一台体制へ移行するのであれば、当然その分の回路やコンセントが必要となる。端末以上に注意しなければならないのはプリンターである。レーザープリンターの電気使用量は10Aを越す物が多く、単独回路の準備が必要。この点を考慮せずにおくと、プリンターのために他の機器が使用できなくなることも起こり得る。また、ホスト端末は間違いなく単独回路が必要。他の機器の使用によるショートに巻き込まれないためにも、必ず単独回路をあてがう。予備回路の問題は、その電源を将来使用するかどうかの問題であって、何も予備回路としておく必要はない。将来敷設するのであれば一度に工事してしまった方がコスト面でも、作業面でも後々楽である。

●電源工事のポイント

新築の場合、PBX室の電気設備は注意を要する。電話交換機やパッチパネル等、いくら専任担当者と言ってもよく分からない機器が設置される。この部分は早い段階で専門業者に必要電源設備の内容を聞いておくことが必要である。業務運営上、電話の施設に失敗は許されない。電源工事で注意を要する点は、OAフロアの場合のコンセント(OAタップ)を床から出すタイミングである。机の下からきっちり出そうとすると机が設置されていないと出来ない。机の設置と同タイミングで行う工程が良い。合わせて、電話配線工事も同タイミングで行う。同じ場所で電気が終わったら電話というように行っていく。ばらばらで行うと床をはがす関係上、再度机の移動が発生してしまい、所要時間が大幅にずれこむこともある。さらに、電源工事が終わらないと、機器の検証ができない。タイミングの良い工程管理が必要である。

●節電のポイント

清掃時に使用する業務用の掃除機も要注意。業務用掃除機の中には10A程度使用するものもある。一度に数台使用することはあまりないので、掃除用回路として数個のコンセントを敷設しておく。その回路のコンセントは普段使用しないようにしておき、掃除機を移動するたびに、その回路のコンセントに繋ぎ掃除をしていく。細かいことだが、街灯や玄関回りの照明はタイマー式にしておくと便利。新築の場合なら、室内電灯のスイッチは細かい範囲でオンオフが出来るようにすると節電が可能。電力会社と契約を結ぶときに、どのような契約を結ぶかによって電気料金が大幅に変わる。電気管理技術者と一緒に電力会社に詳しく聞いてみることが必要。電気関係について移転後、ランニングコスト削減の問題が必ず発生する。電力契約の見直しや電気使用量を抑える機器の検討等、設計段階において、「節電」という観点から移転の準備を行うことが大変重要である。

●コンセント管理

コンセントの個数と位置、これも重要な問題である。コンセントを壁や床に固定で設置する場合はレイアウトとの整合性をとらないと機能面と見た目に問題が生じてくる。機器を設置したい場所にコンセントが無いとか、コンセントが机から離れているので電気の延長コードが丸見えになり、見た目も良くないし、つまずいてしまう危険もある。机の真下や真横にコンセントを設置し最短のコードで届くようにしたいものである。コンセントの場所の確定にはいずれにせよ、レイアウト図面が必要となる。早い段階でおおまかなレイアウト図面がいろいろな場面で必要となってくる。社内調整等でぎりぎりの段階でないと決まらないかもしれないが、事務局案としてある程度は作成しておくことが必要である。OAフロアの場合は、端末やプリンター、OA機器設置のおおまかなゾーニングが決まっていれば、その近辺にコンセントを敷設しておけば良い。

●OAフロア

建物設備を担当する人であれば、OAフロアという名称は聞いたことがあるであろう。レイアウト変更に柔軟に対応できる床設備のことである。最新の床設備ではあるが、やはり電気容量の問題は発生する。そのフロアに何を設置するかで、容量が足りるかどうか、回路が足りるかどうか確認をしなければならない。OAフロアの場合は、レイアウトにより左右されることは無いが、設備コスト削減のため、ある程度のゾーニングは必要であろう。コピー機を設置するゾーン、ホスト端末を設置するゾーン、レーザープリンターを設置するゾーン等、単独回路が必要な機器のゾーニングは決めておき、ある程度固定設置に近い考えで想定しておく。あらゆるレイアウトに対応させようとすると、電源コードの長さが必要になってくる、当然コストに跳ね返る。また、単独回路の問題は固定設置の場合と同様である。

(執筆:『月刊総務』)

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