施設・機器管理:電話設備管理

最終更新日:2010年03月02日

施設・機器管理:目次

●現状調査

調査や判断、調整事項が多岐に渡り、また、移転規模が大きくなればなる程、煩雑さも増してくる。項目として、ボタン電話方式、PBX方式の確認も含めた機器の確認。回線数の確認と回線の使用状態確認。移転規模や移転先設備、移転することによる局番変更の確認もしておく。規模にもよるが、交換機購入費用や配線工事費用等、イニシャルコストも莫大になる。関係する業者も多岐にわたり、工事区分の問題等含め、工程管理が特に重要な工事であり、移転後、即使用できないと事業活動に致命的な影響を及ぼす。失敗の許されない最重要事項が、この電話工事関係なのである。

(1) 機器の確認

まず、現在の電話設備がボタン電話方式なのか、PBX方式なのか、という方式を確認する。そして、その交換機のメーカー、機種名と型番、取得年月日と購入形態等の資産データを把握する。次に、その該当機種の使用上のスペック、つまり収容回線数、収容内線番号数、接続子機数と拡張性等々、流用する場合の可能性を検討する際に必要なデータを押さえておく。子機については、ボタン数やディスプレイの有無等の違いによる機種別ごとに台数を把握しておく。

(2) ボタン電話方式

ボタン電話方式とは、比較的小規模の事業所で使用する方式で、一つの外線番号を共有するタイプである。外線が掛かってくると、指定された子器が鳴動し、全ての子機のボタンが点灯する。だれもが点灯したボタンを押せば外線がとれるものである。発信する場合は、空き回線ボタンを押すなどして発信する。回線ボタン数(回線数)により、同時に最大何人が通話できるかが決まってくる。一つの外線番号(契約回線)に3本の電話回線を付加した場合は、最大4人で外線を発信できることとなる(通話ボタンが4つある)。

(3) PBX方式

PBX方式は、主に大規模事業所で使用する方式であり、部署ごとあるいは個人ごとに外線番号を割り振ってある(ダイヤルイン)。掛かってきたコールは、指定された子機が鳴動し、受話器を上げると通話状態になる。他の子機において代理応答する場合は、あらかじめ設定されたボタン(番号)を押すことによりピックアップできる。外線を発信する場合は、あらかじめ設定されたボタン(番号)を押して掛ける。多くの場合は、設定を0発信としている様である。同時に掛けられる最大通話数は、PBXに収容している電話回線数により決まる。例えば、PBXに10本電話回線(アナログ回線)が収容されていれば、同時に10人が通話できることになる。

(4) 回線数の確認

次に、現在実際に使用している電話回線の本数を正確に把握する。電話用として何本、FAX用として何本、オンライン用として何本。また、併せて専用線についても本数を把握する。個々の用途別に把握し、総計で何本使用しているか押さえておく。そして、その回線の種別についても把握する。アナログ回線なのか、INS64なのか、INS1500なのか。さらに、実際使用していないが加入権として保有しているもの(休止回線)の数についても把握しておく。この実使用回線と休止回線の総計を、移転後の回線に充当していくこととなる。次に、現在使用している外線番号とそれをどの部署で使用しているかを把握しておく。現在の外線番号の割振り基準を明確にして、移転後の外線番号の割振りを検討していく基準とする。

(5) 回線の使用状態確認

電話については、各部署にヒアリングして、回線の混み具合を把握する。外線を掛けたいのにかけられない状態が発生していないか、発生しているのならその頻度はどうか、時間帯はどこに集中しているか、現在の回線数が充分なのか、不足しているのか調査しておく。この段階である程度の適正回線本数をイメージしておく。FAXについては、FAXの通信レポートを1週間分程度貯めておき、それをFAXメーカーに分析してもらう。受信と送信の双方について時系列の使用状態が明確になる。そのデータをもとに、回線数での解決をはかるのか、FAXのメモリー増設での解決を図るのかが明確になる。オンラインについては、情報伝達スピードに関して情報担当部門にその状況をヒアリングしておく。回線数の不足、或いは回線の種類の変更(アナログからISDNへ)が必要なのか、早期に解決策をイメージしておく。

(6) 移転規模

現状把握とともに、移転規模も考慮して解決イメージを想定していく。パターンとして、全く同規模事業所への移転、一部部署のみの移転(スピンアウト型)、各事業所からの統合型移転等のパターンがある。同規模事業所型移転であれば、同内容、同規模の電話設備でイメージする(結果として、流用になる場合が多い)。スピンアウト型や、移転規模が小さい場合はボタン電話方式が考えられる。統合型移転であれば、その規模によりPBX方式を検討したりして、大型化をイメージしていく。移転のパターンを把握して、その前提条件のもとで体制を検討していくこととなる。

(7) 移転先設備

移転先が決定したら、電源も含めて移転先のインフラについては早期に確認する必要がある。特に、電話回線の収容能力は最も重要な点である。MDF若しくはIDFの回線収用能力が、必要としている回線数より少ない場合もある。最近竣工されたインテリジェントビルや新規で建設する場合なら問題は無いが、既存のビルでは、電源も含め空き回線容量が全く足りない場合もある。システム社会の今日では、電話以外にも端末用に通信回線を使用する場合が多いので、是非とも確認が必要である。また、配線環境によっても対応が異なるので、OAフロアが敷設されているか否か、床の仕上げがPタイルかタイルカーペットかなど、事務室内の床の状態も確認が必要である。移転先を検討する段階で、回線収容能力と床の状態は選定基準に含めておくべきである。

(8) 局番変更の確認

移転先が同地区内であれば、現在使用している外線番号がそのまま使用できるが、そうでない場合だと、局番が違ってくる。よって、名刺や封筒含めた印刷物の変更が発生する。局番の変更を避けるため移転先を考慮することはないと思うが、移転の場合、電話番号の変更が発生する可能性が高いことを理解しておくべきである。

●仕様決定

現状調査が完了すると、次に交換機、子機の仕様を決定していく。移転規模により、電話の方式を変更したり、拡張性を考慮して交換機のスペックを決定していく。子機については、どのようなタイプを、どこに設置するかを決めていく。そして、現状調査やヒアリング、移転規模から必要な回線数を、電話、FAX、端末用と、それぞれ確定していく。電話以外の回線を交換機に収納するのか、単独回線として個別対応するのか、通信の安定性といった側面などから検討していく。

(1) 交換機

方式については、ボタン電話方式とPBX方式がある。比較的小規模事業所の場合はボタン電話方式が良く、大規模事業所になるとPBX方式が良い。外線番号を多数割当てる必要があると必然的にPBX方式となってくる。電話方式とそれに必要な交換機については、必要外線番号数、必要電話回線数、必要子機数、将来の事業所の子機や外線番号数の増加の可能性及び運用上の要望を集約して、電話業者に伝達することにより提示される案をもとに検討していくこととなる。交換機の機能については、各社ほとんど差がなく、ヒアリングした結果、必要と思われる要望はほとんどかなえる事ができるはずである。唯一の相違点としては、拡張性の部分である。今後の人員増や移転計画を考慮して検討していくべきである。その都度入れ替えることはコスト的に非常に無駄である。

(2) 子機

設置場所であるが、検討する場所は、ミーティングスペース、会議室、応接室、食堂やリフレッシュスペース、ロッカーがある。連絡の必要性を鑑みて決定する。設置する場合、内線のみか、外線も掛けられる設定にするかの検討がいる。私用電話を防ぐ意味でも、全て外線が可能とするのはやめた方が良い。子機の種類としては、ボタン数とディスプレイの有無などに違いがある。ボタンの数が違うと短縮登録等の機能数に違いが出る。ディスプレイがあると、掛かってきた内線番号が表示されたり、掛けようとする外線番号が表示される。一例として、一般社員用は12ボタンの表示有り、役職者用は24ボタンの表示有り、会議室等を12ボタンの表示無しにするといった対応が考えられる。さらに、非常時用電話も必要となる。停電時でも受発信ができる様に、特別な設定をするものである。代表番号や総務部門の電話については、この電話を設置しておくのが望ましい。

(3) 回線数

回線数を考える場合のポイントは、同時に最大いくつの通話を成立させる必要があるかということである。交換機に収容されている回線全て(電話、FAX、通信端末回線など)について検討する。電話、FAX、端末の通信も常に全て使用している状態というのはあまり考えられない。社内で、全員が電話していると同時にFAXが受信若しくは送信しており、さらに端末が通信状態にあるという状態はお目にかかることは無いと思う。電話用として何本必要か考える場合は、各部署、特に営業部門でどの程度必要かをヒアリングして、移転対象部署の合計を出しておく。FAXの場合は、利用状況調査で行う通信レポートを基にして検討する。端末用は、情報システム部門に通信時間帯やその時に必要な回線数をヒアリングする。電話用、FAX用、端末用として時系列ごとに必要な本数を集計し、その結果から、最大何本必要か割り出す。その必要数に既存の回線数と休止回線を加味して、実際に購入する回線数をだす。

(4) 単独回線

全回線数と交換機への収容本数との関係だが、交換機へ全て電話回線を収容し、単独で回線を持たない場合、例えば、子機10台、FAX2台、通信端末が5台あり、10回線交換機に収容した場合は、7人が通話しており、3台の通信端末が通信を開始すると、この事業所としてFAXは使用できない状態となる。つまり、FAXや通信端末の使用を必ず確保するのであれば、その分単独で直接電話回線をFAXや端末に持たす必要がある。確かに、交換機に全回線を収納すると、最も少ない回線数で賄え、イニシャルコストやランニングコストも低減されるが、通信の安定性という面から見ると問題がある。FAXや端末の通信は必ず出来る状態にするのであれば、それぞれに単独回線を持たすか、その分多めに交換機に収納しておくことが必要となる。電話に関しては、ヒアリングした結果出てきた本数を交換機に収容しておけば良い。

●業者選定

電話業者(発注先及び配線工事業者)を選定する場合、いくつかのパターンがある。現在使用している電話システムをそのまま移転先でも使用する場合は、現状の電話業者に移転工事を依頼することとなる。また、交換機の拡張や子機の増加が必要な場合も、現在使用しているメーカーでの拡張や増設となり、現在の電話業者に依頼することになる。移転先の規模が大きく、方式を変更させなければならない場合、或いは現在使用している交換機では賄えない場合は、新規で交換機から子機まで購入することとなる。この場合の電話業者の選定だが、営業関係でのバーターや、或いは営業戦略上、購入先に強い要望がある場合もあるので、全社を通じて確認をとっておく必要がある。選定ポイントは、ハードの選定、保守状態の比較、そしてシステム工事での比較がある。選定後は工事区分を明確にし、工事スケジュールをしっかりと立て、工程管理をしていく。

(5) ハードの選定

各社交換機や子機の性能はほとんど大差がない。また、移転後に必要な条件を提示すれば、各社とも同じような内容の提案となる。選定する機種による違いで最も需要な点は、拡張性の部分である。拡張ユニットを増設することにより接続できる子機の数や外線番号数や収容回線数に違いがでてくる。将来の事業所内での人数や部署数を考慮に入れて、拡張性を検討し、メーカーおよび機種を絞ることになる。従って、まず、必要な拡張性を持っている交換機を扱える業者を選定し、その中から、同内容の交換機を中心としたシステムをいかに安く購入するかがハード上の業者選定のポイントとなる。

(6) 保守状態の比較

購入後の保守体制も非常に重要である。以下のポイントでチェックしていく。

(1) 365日、24時間、保守対応窓口が開設されている。

(2) 留守番電話対応ではなく、会話できる相手が窓口にいる。

(3) 交換機や子機、配線の修理依頼も1つの窓口で対応できる。窓口が1つの方が混乱せずにすむ。故障内容が判別できない場合もあり、一切合財連絡できたほうが便利。

(4) 事業所の近くに保守拠点がある、若しくは近くを巡回している。或いは、事業所の近辺にある地域に常駐している保守要員がいる。

(5) 保守担当者が固定されている。その都度担当が変ると、過去の経緯等を再度伝えなくてはならず面倒である。長期に渡って担当者が固定されているほうが良い。

(6) リモートサポートができる。故障対応や、内線番号の入れ替え等のシステム作業が電話回線を通じて可能である。

(7) 障害の連絡をした後、その障害の切り分けをして、NTTやその他の保守会社への連絡をしてくれる。担当窓口へ連絡すれば、全て事足りる状態である。

(7) システム工事での比較

ネットワーク上での問題の分類をすると、ケーブルやコネクタに関しては、ハードウェアの障害、回線の品質の問題、ノイズの発生や結線ミスが考えられる。ルーターやモデムに関しては、設定ミスやハードウェア障害が考えられる。通信網に関しては、回線の品質や設定ミス、ノイズの発生が考えられる。以上のような障害を発生させないためには、回線工事に関しても慎重に業者を選定すべきである。結線ミスや設定ミスを起こさないためには、実績のある業者を選定すべきである。電話回線とネットワーク配線は全く異なるので、また、同軸ケーブルを使用する場合は特に大変なので、工事実績のある業者を選ぶようにする。

(8) 工事スケジュール

電話工事については、検討決定事項が多岐に渡り、また、それぞれが密接に関連している。手配事項についても優先順位があり、順序を誤ると工事が停止してしまう。新規ビルへの移転の場合を例にとり、スケジュールの一例を示す。

●運用ルール

交換機の仕様が決定し、子機の種類や設置場所が確定すると、次に、ソフト面の確定作業が必要となる。外線番号割り振り、内線番号割り振りといった、電話番号計画の作成。部署ごとに、組織構成や業務形態を考慮して、着信方式、ピックアップの範囲、代表着信の順番を決定していく。個別の子機ごとに出来る短縮ダイヤルと、交換機で管理する短縮ダイヤルもあり、登録数に限度もあり、定期的な見直しが必要となる。公衆電話についても、設置場所の検討が必要となる。

(1) 外線番号割り振り

移転対象部署が複数になると、それぞれに外線番号を持たすことがある。基本的に、外線番号を確保する際は、続き番号で確保することになると思う。確保できた番号を基に、必要とする部署に割振っていく。この際、ある程度の理由づけでもって割振っていくほうが良い。例えば、組織図に従って若い番号から振っていくなどである。また、広報しないけれど外線直通番号を持たす場合もある。とかく、外線番号は、各部署欲しがるはずであるが、コストもかかるし、印刷物も複数となる。移転対象部署に必要性を確認して納得性のある番号割振りをすることである。

(2) 内線番号割り振り

内線番号はPBX方式であれ、ボタン電話方式であれ必要となってくる。子機全てに渡って割振っていく。この場合もある一定の法則の基で、割振る必要がある。子機を増設する場合や、部署の統廃合時にこの法則に合わせて内線番号を追加していく。例えば、1階事務室は100番台、2階事務室は200番台、会議室や食堂は300番台というように、法則性を持たす。また、部室長は110番、120番、130番、課長は111番、121番、131番、というように役職者により下1桁の番号を統一していく。交換機により、内線番号が4桁の場合と3桁の場合があり、それを確認した上で、移転対象部署の数も考慮に入れて内線番号計画を作成していく。

(3) 着信方式

着信方式は、外線が掛かってきた場合に、どの子機を鳴動させるかということである。部署毎ダイヤルインの場合、通常は1部署1外線番号であり、該当部署で1台か2台が鳴動するように設定することが多い。部署ごとに着信音を変えると、どの部署に掛かってきた電話かが分かりやすい。但し、大規模事業所の場合、各自、各子機が外線番号をもっている場合もある。そのような場合は、その子機のみが鳴動することになる。どの電話機を鳴動させるかは、その部署ごとにヒアリングして設定することとなる。

(4) ピックアップ

ピックアップは同じグループ内の他の子機が鳴動した場合に、あるボタンを操作することで、他の子機からその電話を取ることができる設定である。通常は、子機の番号以外の機能ボタンにピックアップボタンを設定するか、特定の番号を押す(8番9番)ことにより取れるようにする。どの範囲の電話までピックアップできるか、そのルールを決定する必要がある。通常は、同一部署内に止めるケースが多い。

(5) 代表着信

代表着信とは、大規模な事業所で、全ての電話番号が外線番号を持っている場合(内線番号イコール外線番号の下4桁)、ある人が内線もしくは外線で通話をしている場合に、その者宛に掛かってきた内線或いは外線が、話中にならずに、設定した番号順に流れていく設定である。Aさん(内線番号1111)が通話中である時、Aさん宛にBさんが内線を掛けた時に、その電話がCさんの電話(内線番号1112)に流れるというものである。よくあるケースは、部長の電話はその部署の庶務に流れるように設定したり、同じ部署内の電話は、年次順に下に向かって流れるように設定したりする。これも、各部署の業務上の特性を加味しながらヒアリングして設定していく。

(6) 短縮ダイヤル

これは、機能ボタン、或いは3桁なり4桁の番号を押すことにより、良く掛ける特定の外線番号が掛かるように設定するものである。取引先の中で特に頻繁にやり取りを行う先をピックアップして、短縮ダイヤルに登録していく。但し、登録する数には限りがあるので、時々見直す必要がある。全く使用されないものや、存在しないものなどの、時期が経つと発生してくるからである。初期登録の段階では、各部署にヒアリングして登録していく。

(7) 公衆電話

私用電話は公衆電話(ここで言う公衆電話とは、市中の公衆電話とは異なり、一般的にピンク電話と呼ばれる方式を差す)を使用するとした場合、まず、設置場所を決める必要がある。通常は、来客者も使用できるように、エントランスに設置する。社内の者が使用する場合を考えると食堂やリフレッシュスペースにも設置する。公衆電話(ピンク電話)の電話機だが、これはNTTからの買取りとなる。(10万円程度から)カード式ピンク電話は、カードの偽造対策として供給されていない。また、機種によっては携帯電話への通話は、その番号を公衆電話自体に登録しておかないと掛けられない場合もあるので、機能を良く確認してから購入するようにすること。

(執筆:『月刊総務』)

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