月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい3月のトピックス

2020-03-02 15:05

2020. March

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●会社法の一部を改正する法律の成立

 2019年12月11日に会社法の一部を改正する法律が公布されました。原則、公布日から起算して1年6か月を超えない政令で定める日から施行されます。主な改正点は次の通りです。
〈株主総会に関する規律の見直し〉
(1)株主総会資料の電子提供制度の新設:招集通知をウェブサイトへの掲載に変えられます※ 。
(2)株主提案権の制限:提案できる件数が10個に制限されます。
〈取締役等に関する規律の見直し〉
(1)取締役会が取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方針を決議しなければなりません。
(2)D&O保険で、取締役会等の決定によって保険契約を会社が締結できることが明示されます。
(3)業務執行の社外取締役への委任(会社と取締役との利益が相反する場面において、取締役会の決議によって社外取締役に業務執行を委託すること)ができます。
(4)上場会社等について社外取締役を置くことが義務付けられます。
 その他の改正事項としては、社債管理補助者制度や株式交付制度(買収会社が被買収会社をその子会社とするために被買収会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対し当該株式の対価として買収会社の株式を交付できる制度)が新設されました。さらに、会社が取締役等の責任追及の訴えにおいて和解するには、監査役や監査等委員の同意が必要とされました。

※ただし、株主は書面によることを会社に請求できます。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●賃金の時効は「3年」に

 2019年12月27日、労働政策審議会は「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」と題した建議を厚生労働大臣に提出しました。2020年4月1日に改正民法が施行されると、労働基準法の時効との間でねじれ現象になることを踏まえたものです。
 審議会では、使用者側が従来の2年、労働者側が改正民法と同じ五年の時効を主張して平行線をたどっていました。そこで公益委員から、原則を「5年」としながらも当面、賃金台帳の保管義務である「3年」とする見解が出されて了承されたようです。
 なお、労働基準法改正案を国会へ早期に提出し、改正民法と同じく2020年4月1日に施行することも建議されています。


●高年齢雇用継続給付の段階的縮小

 労働政策審議会の雇用保険部会の報告書によると、高年齢雇用継続給付を段階的に縮小することが提言されています。2025年度には継続雇用対象者の限定に関する経過措置が終了するため、60歳以上65歳未満のすべての者は希望すれば継続雇用制度の対象者となります。
 そこで、2025年度から新たに60歳となる高年齢労働者への給付率を半分程度に縮小することが適当であるとされています。定年後再雇用時の賃金設定に影響を与える可能性があることから注意が必要です。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●被災資産に係る資本的支出と修繕費

 法人が災害等により固定資産に被害を受けた場合、その復旧のために支出する一定の費用については、次の通り資本的支出と修繕費の区分の特例が設けられています。
(1)被災資産について、原状回復のために支出する費用は修繕費となります。
(2)被災前の効用維持のために行う補強工事費用等を、修繕費とする経理処理が認められます。
(3)被災資産として支出する費用[(1)(2)に該当するものを除く]のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理処理が認められます。

●大法人におけるe-Taxの義務化

 2020年4月1日以後に開始する事業年度分から、大法人(事業年度開始時に資本金1億円超)等が行う法人税や消費税の申告は、e−Taxによる提出が義務付けられます。対象書類には申告書のほか申告書に添付すべきものとされている書類のすべてが含まれます。
 なお、e−Tax義務化の対象となる法人が、法定申告期限までにe−Taxによる申告書を提出せず、書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われ、無申告加算税の対象となるため注意が必要となります(2期連続で法定申告期限内に申告がない場合は、青色申告の承認の取り消し対象となります)。

『月刊総務』2020年3月号P7より転載